プラトンの対話篇『ティマイオス』は、ソクラテスが集まりに来た人々を数える場面から始まります。前日に客としてもてなされたティマイオスたちは、今度はソクラテスを言葉でもてなし返そうとしています。
しかし、新しい物語へ進む前に、まず前日の対話を確かめなければなりません。ソクラテスは、自分が語った最善の国のあり方を一つずつ振り返ります。守護者の役割と教育、財産を私有しない共同生活、男女が同じ務めを担うこと、家族と子供をめぐる制度――『ティマイオス』の壮大な宇宙論は、こうした国制論の確認を足場として始まります。
底本・出典・利用条件
- 底本:Plato, Timaeus, in Platonis Opera, Tomus IV, ed. John Burnet(Oxford, 1902)。
- 原文:Perseus Catalog「Timaeus, Burnet, 1902」で公開されているBurnet系ギリシャ語本文を参照し、Burnet版画像と照合しています。
- 利用条件:Perseusのギリシャ語本文データはCC BY-SA 4.0で提供されています。Burnet版は保護期間を満了した歴史的校訂版です。
対話本文
ソクラテス 一人、二人、三人――ところで、親愛なるティマイオス、四人目はどこにいるのです。昨日は宴の客で、今日はもてなす側になるはずだった人ですが。
ティマイオス 何か病気に見舞われたのです、ソクラテス。そうでなければ、この集まりを自分から欠席するような人ではありません。
ソクラテス それでは、あなたとこちらの二人が、欠席者の分まで補う役目を引き受けることになりますね。
ティマイオス もちろんです。力の及ぶかぎり、何一つ欠けさせません。昨日、あなたから客人にふさわしいもてなしを受けたのですから、残った私たちが喜んであなたをもてなし返さないなら、それは正しいことではないでしょう。
ソクラテス では、私があなた方に、何を、何について話すよう命じたか、覚えていますか。
ティマイオス 覚えていることもあります。覚えていないことは、あなたがここにいるのですから、思い出させてくださるでしょう。いえ、むしろ、ご面倒でなければ、初めからもう一度、手短に振り返ってください。そうすれば、私たちの記憶にいっそう確かに定着するでしょう。
ソクラテス そうしましょう。昨日、私が国のあり方について語った話の要点は、どのような国が、どのような人々から成るなら、私には最善のものになると思われたか、ということでしたね。
ティマイオス ええ、ソクラテス。あなたがお話しになったことは、私たち全員の意に大いにかなっていました。
ソクラテス ではまず、その国の農民やその他すべての職人を、戦いの先頭に立つ者たちの階層から、別に分けたのではありませんでしたか。
ティマイオス はい。
ソクラテス そして、それぞれの者に、
ソクラテス(続) その本性にかなった一つだけの仕事、一人につき一つの技を与えたうえで、何よりもまず戦わなければならない者たちについては、彼らはただ国の守護者でなければならない、と話しました。外からであれ内からであれ、誰かが害を加えようとしてやって来たとき、
ソクラテス(続) 自分たちが治める者たちは本来の仲間なのですから、彼らに裁きを行う際には穏やかに、戦場で出会う敵には厳しく立ち向かう者になる、と。
ティマイオス まったくそのとおりです。
ソクラテス 守護者の魂の本性は、並外れて気概に富むと同時に、知を愛するものでなければならない、と私たちは話したと思います。それは、味方と敵のそれぞれに対して、正しく穏やかに、また厳しく振る舞えるようにするためでした。
ティマイオス はい。
ソクラテス では、養育についてはどうでしたか。体育と音楽・文芸、それに守護者たちにふさわしい学問のすべてによって育てられるべきだ、としたのではありませんか。
ティマイオス ええ、まったくそのとおりです。
ソクラテス そのように育てられた者たちは、金も銀も、そのほかどのような財産も、自分だけのものと考えてはならない、とも話しましたね。むしろ彼らは、援護者として、自分たちが守る人々から守護の報酬を受け取る。その額は、節度ある者にとって適量とし、それを共同で使い、互いに共同生活を送り、つねに徳を育むことへ心を配り、そのほかの仕事からは解放されているべきだ、と。
ティマイオス そのことも、そのように話されました。
ソクラテス さらに女性についても触れました。女性にも男性と同様の資質を認め、戦争でも、そのほかの生活でも、すべての務めを女性たちにも共通に担わせるべきだ、と。
ティマイオス そのことも、そのように話されました。
ソクラテス では、子をもうけることについてはどうでしたか。この話は、語られたことが珍しいだけに、覚えやすいでしょう。婚姻も子供も、すべての者にとってすべて共有のものと定め、誰一人として、生まれた子のうちどれが自分の子なのかを個人的には知ることがないよう工夫する。
ソクラテス(続) その一方で、全員が互いを同じ一族とみなし、ふさわしい年齢の範囲にいる者たちを姉妹・兄弟と、それより前の世代を父母や祖父母と、それより後の世代を子や孫とみなす、というものでしたね。
ティマイオス はい。今おっしゃったとおり、このことも覚えやすいものです。
ソクラテス そして、生まれたときから、その本性ができるかぎり最善のものとなるよう、男女の統治者たちは、婚姻の組み合わせに際して、
ソクラテス(続) ある種のくじをひそかに操作しなければならない、と話したことを覚えていますか。すなわち、劣った者同士と優れた者同士が、それぞれ同じ性質の相手と組み合わされるようにし、しかも、そのために彼らのあいだに敵意が生じないよう、組み合わせの原因は偶然にあると思わせる、ということを。
ティマイオス 覚えています。
ソクラテス そして、優れた者たちの子は養育しなければならないが、劣った者たちの子は、守護者ではない市民の階層へ、ひそかに移さなければならない、とも話しました。子供たちが成長するあいだ、つねに見守り、ふさわしい者はふたたび上の階層へ戻し、自分たちのもとにいるふさわしくない者は、戻されてきた者たちのいた場所へ移さなければならない、と。
ティマイオス そのとおりです。
ソクラテス では、昨日と同じように、要点をもう一度たどるという意味では、すでに一通り語り終えたでしょうか。それとも、親愛なるティマイオス、まだ話し残されている何かを、私たちは求めているでしょうか。
ティマイオス いいえ、少しも。ソクラテス、話されたことは、まさにそれで全部でした。