『オデュッセイア』第1巻第63–79行――ゼウス、ポセイドンの怒りを語る


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ゼウス、ポセイドンの怒りを語る

そう答えて、雲を集めるゼウスは彼女に言った。 「娘よ、なんという言葉がそなたの歯の垣根を越えて出たのか。 どうして私が、神にも似たオデュッセウスを忘れられよう。 彼は知恵では人間の誰にもまさり、供え物では神々に、 広い天を持つ不死の神々に、誰よりも捧げてきたのだ。 だが大地を揺るがすポセイドンは、いつまでも激しく怒っている、 目を潰されたキュクロプスのことで―― 神にも似たポリュペモス、キュクロプスの中で最も力ある者の。 彼をニュンペーのトオーサが産んだ、 フォルキュスの娘、尽きぬ海の主の娘で、 奥深い洞窟でポセイドンと交わって。 その時から大地を揺るがすポセイドンは、オデュッセウスを 殺しはしないが、故郷の地からさすらわせている。 さあ、ここにいる我ら皆で、彼の帰還を思案しよう、 どうすれば彼が帰れるか。ポセイドンも怒りを手放そう。 なぜなら彼は、すべての不死なる神々を相手に、 神々の意に背いて一人で争うことなどできはしないのだから。」

平易な日本語

ゼウスは、オデュッセウスを忘れるはずがないと答える。彼は知恵に優れ、神々にも供え物をしてきた。ただ、ポセイドンは息子ポリュペモスの目をオデュッセウスに潰されたため怒っている。ポセイドンは彼を殺さず、故郷から遠くさまよわせている。そこでゼウスは、神々皆で彼の帰還を考えようと提案する。

訳注

  • ゼウス — アテナに答え、オデュッセウスを忘れてはいないと述べる。ポセイドンが怒る理由を明かし、神々が協力して帰還を図ろうと提案する。
  • ポセイドン — 海と大地を揺るがす神。オデュッセウスがキュクロプスの目を潰したため怒っているが、ゼウスはその怒りも神々の協議によって収まると見通す。
  • キュクロプス — ポセイドンが怒る原因となった一つ目の巨人。ここではその名が、ポリュペモスを指して用いられる。
  • ポリュペモス — キュクロプスたちの中で最も力ある者。ポセイドンとトオーサの子で、オデュッセウスに目を潰された。
  • トオーサ — ポリュペモスの母。フォルキュスの娘として語られる。
  • フォルキュス — 海の主とされ、トオーサの父としてこの箇所に現れる。
  • 帰還 — ここではオデュッセウスが故郷へ戻ること。ゼウスは神々全員でその実現を思案しようと呼びかける。
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