『史記』五帝本紀――四方を巡り、天下を治める黄帝

2026-10-02 記
トピック: AI記事: 中国古典: 司馬遷: 史記

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五帝本紀ごていほんぎ第一

黃帝こうてい

原文

天下てんか有不順者,黃帝こうてい從而征之,平者去之,披山通道,未嘗寧居。東至于海,登丸山がんざん,及岱宗たいそう。西至于空桐くうとう,登雞頭けいとう。南至于江,登熊湘ゆうしょう。北逐葷粥きょういく,合符釜山ふざん,而邑于涿鹿たくろく之阿。遷徙往來無常處,以師兵爲營衛。官名皆以雲命,爲雲師。置左右大監以監萬國。萬國和,而鬼神山川封禪與爲多焉。獲寶鼎,迎日推筴。舉風后ふうこう、力牧りきぼく、常先じょうせん、大鴻たいこう以治民。

書き下し

天下に順はざる者有れば、黃帝こうてい從ひて之を征し、平らぐる者は之を去け、山を披き道を通じ、未だ嘗て寧居せず。東は海に至り、丸山がんざんに登り、岱宗たいそうに及ぶ。西は空桐くうとうに至り、雞頭けいとうに登る。南は江に至り、熊湘ゆうしょうに登る。北は葷粥きょういくを逐ひ、釜山ふざんに符を合はせ、涿鹿たくろくの阿に邑す。遷徙往來して常處無く、師兵を以て營衛と爲す。官名は皆雲を以て命じ、雲師と爲す。左右の大監を置き以て萬國を監せしむ。萬國和し、而して鬼神山川の封禪すること多し。寶鼎を獲、日を迎へて筴を推す。風后ふうこう・力牧りきぼく・常先じょうせん・大鴻たいこうを舉げて以て民を治む。

現代日本語訳

天下に従わない者がいると、黄帝こうていはみずから征討し、平定した者は退けた。山を切り開いて道を通し、安らかに住むことはなかった。東は海に至り、丸山がんざんに登り、さらに岱宗たいそうにも登った。西は空桐くうとうに至り、鶏頭けいとう山に登った。南は長江に至り、熊湘ゆうしょうに登った。北では葷粥きょういくを追い、釜山ふざんで符わりふを合わせ、涿鹿たくろくの地に都を置いた。移動して各地を巡り、定まった居所を持たず、軍隊を護衛とした。

訳注
対応する訳文 語句 訳注
天下に従わない者がいると、黄帝はみずから征討し、平定した者は退けた。 征討・平定 従わない勢力を軍事的に討ち、服属させた勢力は軍を引いた、という意味。
東は海に至り、丸山に登り、さらに岱宗にも登った。 岱宗 泰山の別名。東方を代表する聖山として扱われる。
北では葷粥を追い、釜山で符を合わせた。 葷粥 北方の異民族。後世の匈奴と関連づけられることがあるが、ここでは本文の呼称をそのまま用いる。

官職名はすべて雲にちなんで名づけ、雲の軍団を組織した。左右に大監を置いて、天下の諸国を監督させた。諸国が和睦すると、山川の神々を祀る封禅ほうぜんの祭儀も数多く行った。宝鼎ほうていを手に入れ、太陽の運行を迎えて暦を推し測った。風后ふうこう・力牧りきぼく・常先じょうせん・大鴻たいこうを登用して、民を治めた。

訳注
対応する訳文 語句 訳注
山川の神々を祀る封禅の祭儀も数多く行った。 封禅 山を封じ、地を禅して、天と地に帝王の功績を報告する祭儀。
宝鼎を手に入れ、太陽の運行を迎えて暦を推し測った。 宝鼎・暦を推し測る 鼎は王権を象徴する器。天体の運行を観測して、暦や時を定めたことを指す。
風后・力牧・常先・大鴻を登用して、民を治めた。 風后・力牧・常先・大鴻 黄帝に仕えた功臣たち。本文では、それぞれを登用して政治を担わせたと述べる。
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