程偉元序
小説『紅楼夢』は、もとは『石頭記』という名であった。作者についての言い伝えは一定せず、結局のところ、誰の手になるものかは分からない。ただ、書中には、曹雪芹先生が何度か削り改めたと記されている。愛好家たちはそれぞれ一部を書き写して伝え、廟の境内に立つ市に出れば、その値は数十金にもつり上がった。まさに、足もないのに世に広まってゆくもの、といえよう。
ところが、もとの目録には百二十巻とあるのに、いま伝わっているのはわずか八十巻で、完全な形ではなかった。ときおり全巻揃いだと称するものがあっても、調べてみれば、やはり八十巻にすぎず、読者はたいそう残念に思っていた。不才の私は、この書にもともと百二十巻の目録がある以上、全本がないはずはないと考えた。そこで力を尽くして探し求め、蔵書家のもとから古紙の山に至るまで、くまなく心を配った。だが、数年をかけても、集まったのはようやく二十余巻であった。
ある日たまたま、小鼓を鳴らして売り歩く行商人の荷の中に十余巻を見つけ、すぐに高値で買い取った。喜んで繰り返し読んでみると、物語の前後の起伏には、なおつながりがあった。しかし文字はかすれ乱れ、ほとんど整理のしようがなかった。そこで友人とともに念入りに選り分け、長すぎるところを削り、不足を補って、全巻を清書した。さらに版を刻ませ、同好の人々に広く供することにした。『紅楼夢』全書は、こうして初めて完成を告げたのである。
書が出来上がったので、あわせてその成立のいきさつを記し、天下の諸君にお知らせする。同好の方々にも、ひと足先に目にする喜びを味わっていただけるのではなかろうか。
小泉こと程偉元、記す。
高鶚序
私は、『紅楼夢』が人々の口にのぼり、広く親しまれるようになってから、すでに二十余年になると聞いている。けれども、これまで完全な一揃いも、定まった本文もなかった。以前、友人から借りて読んだことがあるが、鼎の中身を指先でひとなめしただけに等しく、全体を味わえないことを残念に思っていた。
今年の春、友人の程小泉先生が私を訪ね、買い集めた全書を見せて、こう言った。
「これは、私が数年をかけ、一銖ずつ、一寸ずつ積み重ねてきた苦心の成果です。これから版木に付し、同好の人々に広く供しようと思います。あなたには暇があり、私はもう疲れ果てました。どうか、この仕事を分担してくれませんか」
私は、この書が稗官野史の類ではあっても、なお名教の道に背くものではないと考え、喜んでお引き受けした。まさに、宝を見分けたペルシア人のような幸いと思い、ついにその仕事を助けた。作業が終わったので、その始終を記して読者に告げる。
鉄嶺の高鶚、序を記し、あわせて書す。
時に乾隆辛亥、冬至の五日後。
訳注
| 訳文中の語句 | 訳注 |
|---|---|
| 鼎 | 古代中国で煮炊きに使われた、三本脚の青銅器。「鼎の中身を指先でひとなめしただけ」は、作品の一部分だけを読んだことのたとえ。 |
| 一銖 | 「銖」は古代中国のごく小さな重さの単位。ここでは、わずかなものを少しずつ積み重ねたことを表す。 |
| 稗官野史 | 正史ではなく、民間に伝わる出来事や風聞を記した書物、または小説の類。「稗官」は巷の話を集めた下級の役人、「野史」は民間で書かれた歴史書をいう。ここでは『紅楼夢』のような物語文学を指す。 |
| 名教 | 君臣・親子などの名分を重んじる、儒教的な倫理と社会秩序。 |
| 宝を見分けたペルシア人 | 宝石を見分けることに長けたペルシア人が、真の宝を見いだすという故事的表現。高鶚は、全本の『紅楼夢』に出会えた幸運をこう表した。 |
目録
読みやすい現代日本語訳
第一回 甄士隠が夢の中で不思議な玉を知り、賈雨村がまだ世に出る前に良家の娘を思う
第二回 賈夫人が揚州で亡くなり、冷子興が栄国府の事情を語る
第三回 林如海が妻の兄に家庭教師を推薦し、賈母が母を亡くした孫娘を迎える
第四回 薄命な娘が薄命な若者に出会い、ひょうたん僧が「ひょうたん事件」を裁く
第五回 宝玉が不思議な夢の世界で十二人の女性たちの運命を知らされ、仙界の酒を飲んで『紅楼夢』の曲を聴く
第六回 賈宝玉が魂で太虚境を訪れ、警幻仙姑が『紅楼夢』の曲を演奏する
第七回 宮中風の造花が届けられるなか、賈璉と王熙鳳が戯れ、宝玉が秦鍾と出会う
第八回 宝玉が宝釵の金の首飾りを知り、薛宝釵が宝玉の不思議な玉を見る
第九回 李貴が厳しく叱られ、茗煙が学問部屋で騒ぎを起こす
第十回 金寡婦が利益を求めて辱めを受け、張太医が病の原因を詳しく診る
第十一回 寧国府で誕生日の宴が開かれ、賈瑞が熙鳳に邪な思いを抱く
第十二回 王熙鳳が恋心を利用した残酷な罠を仕掛け、賈瑞が風月鑑の表側を見る
第十三回 秦可卿が亡くなり、王熙鳳が寧国府の葬儀を取り仕切る
第十四回 林如海が揚州で亡くなり、宝玉が道中で北静王に会う
第十五回 王熙鳳が鉄檻寺で権力を振るい、秦鍾が饅頭庵で恋にふける
第十六回 賈元春が才能を認められて宮廷に入り、秦鍾が若くして亡くなる
第十七回 大観園で宝玉が建物の名を考え、栄国府では元春の帰省を迎える準備が進む
第十八回 元妃が皇帝の許しを得て両親を訪ね、宝玉が詩の才能を披露する
第十九回 襲人が宝玉の気持ちをやさしく受け止め、黛玉との静かな時間に香りが漂う
第二十回 王熙鳳が嫉妬をめぐる騒ぎを正論で収め、林黛玉が巧みな言葉で宝玉をからかう
第二十一回 襲人が宝玉をたしなめ、平児が穏やかな言葉で賈璉を救う
第二十二回 曲を聴いた宝玉が禅の意味を悟り、賈政が灯籠の謎に不吉な兆しを感じる
第二十三回 宝玉と黛玉が『西廂記』の言葉で戯れ、『牡丹亭』の歌が黛玉の心を揺らす
第二十四回 倪二が金に執着せず友人を助け、小紅が落とした手巾から恋が動き出す
第二十五回 宝玉と王熙鳳が邪術に倒れ、二人の道人が通霊宝玉の力をよみがえらせる
第二十六回 蜂腰橋で思いを伝える言葉が交わされ、瀟湘館では春の物憂さが黛玉の恋心を深める
第二十七回 滴翠亭で宝釵が蝶を追い、黛玉は落ちた花を葬って涙を流す
第二十八回 蔣玉菡が宝玉に茜色の帯を贈り、薛宝釵は赤い香玉の腕飾りを受け取って恥じらう
第二十九回 福に恵まれた人々がさらに幸福を祈る一方、情の深い黛玉は思い悩みを募らせる
第三十回 宝釵が扇を使って二重の皮肉を返し、齢官が地面に「薔」の字を書き続ける
第三十一回 晴雯が扇を破って宝玉を笑わせ、金の麒麟が将来の縁を暗示する
第三十二回 宝玉が黛玉に本心を打ち明け、辱めを受けた金釧が命を絶つ
第三十三回 賈環の告げ口をきっかけに、賈政が宝玉を激しく打つ
第三十四回 打たれた宝玉をめぐって人々の思いが交錯し、気遣いの言葉さえ新たな誤解を生む
第三十五回 玉釧が宝玉に蓮葉羹を食べさせ、鶯児が梅の花の飾り紐を結ぶ
第三十六回 襲人の刺繡が宝玉の住まいの夢を暗示し、梨香院で宝玉が人の恋心を悟る
第三十七回 探春たちが海棠詩社を結び、宝釵が菊の詩題を考える
第三十八回 黛玉が菊花詩の首位となり、宝釵が蟹を題材に風刺の詩を詠む
第三十九回 劉老女が思いつきの物語を語り、宝玉がその話を本気にして詳しく調べる
第四十回 賈母が大観園で二度の宴を開き、鴛鴦が札を使った酒宴の遊びを取り仕切る
第四十一回 宝玉が櫳翠庵で茶を味わい、劉老女が酔って怡紅院で眠り込む
第四十二回 宝釵が親身な言葉で黛玉のわだかまりを解き、黛玉が上品な冗談で宴の後日談を締めくくる
第四十三回 皆が金を集めて王熙鳳の誕生日を祝い、宝玉は土を盛ってひそかに金釧を弔う
第四十四回 王熙鳳が賈璉の浮気に激しく嫉妬し、巻き込まれた平児がようやく身なりを整える
第四十五回 宝釵と黛玉が互いの胸の内を語り、雨の夜に黛玉が『秋窓風雨夕』を作る
第四十六回 賈赦が鴛鴦を側室に望み、鴛鴦は決して結婚しないと誓う
第四十七回 薛蟠が柳湘蓮に言い寄って痛い目に遭い、柳湘蓮は災いを避けて旅立つ
第四十八回 放蕩者の薛蟠が思い違いから旅商いを思い立ち、香菱が詩作に苦心する
第四十九回 雪と紅梅が輝く大観園で、華やかな娘たちが鹿肉を焼いて味わう
第五十回 蘆雪亭で雪景色の連句を競い、暖香塢で春の灯籠の謎を作る
第五十一回 薛宝琴が懐古詩を作り、藪医者が病気の晴雯に強すぎる薬を出す
第五十二回 平児が腕輪の盗難を穏便に収め、晴雯が病を押して孔雀糸の外套を繕う
第五十三回 寧国府が大晦日に祖先を祭り、栄国府が元宵節の夜宴を開く
第五十四回 賈母が古臭い物語の型を批評し、王熙鳳が孝行話をまねて皆を楽しませる
第五十五回 趙姨娘が実の娘の探春に無理を言い、使用人たちは若い管理役につけ込もうとする
第五十六回 探春が屋敷の古い弊害を改め、宝釵が小さな心配りで全体をまとめる
第五十七回 紫鵑が黛玉の帰郷話で宝玉の心を試し、薛姨媽が黛玉をやさしく慰める
第五十八回 若い役者たちが亡き相手をひそかに悼み、宝玉がその一途な思いを理解する
第五十九回 柳葉渚で娘たちと母親が言い争い、絳芸軒では宝玉が騒ぎを収めようとする
第六十回 ジャスミンの粉が薔薇の香料の代わりに使われ、薔薇の露をめぐる争いから茯苓霜の一件が起こる
第六十一回 宝玉が盗みの件をかばって隠し、平児が事情を見極めて穏便に裁く
第六十二回 史湘雲が酔って芍薬の花の中で眠り、香菱が汚れた石榴裙を着替える
第六十三回 怡紅院で娘たちが宝玉の誕生日を祝い、尤氏が賈敬の葬儀を取り仕切る
第六十四回 黛玉が五人の美女を悼む詩を作り、賈璉が尤二姐に九つの龍の飾りを贈る
第六十五回 賈璉がひそかに尤二姐を妻に迎え、尤三姐は柳湘蓮との結婚を望む
第六十六回 尤三姐が疑われた恥から命を絶ち、柳湘蓮は世を捨てて出家する
第六十七回 贈られた土産に黛玉が故郷を思い、王熙鳳が秘密を知った家の者を問い詰める
第六十八回 王熙鳳が尤二姐をだまして大観園へ迎え入れ、寧国府で激しく騒ぎ立てる
第六十九回 王熙鳳が人の手を借りて尤二姐を追い詰め、尤二姐は金を呑んで命を絶つ
第七十回 黛玉が桃花詩社を再び開き、史湘雲が柳の綿毛を詠んだ詞を作る
第七十一回 わだかまりを抱く者が新たな争いを起こし、鴛鴦は思いがけず男女の密会を目にする
第七十二回 王熙鳳が強がって病を隠し、来旺の妻が権勢を使って縁組を押しつける
第七十三回 侍女が男女の絵を刺繡した袋を拾い、迎春は盗まれた金の鳳凰飾りを追及しない
第七十四回 よこしまな告げ口から大観園の捜索が行われ、惜春は寧国府との縁を断つ
第七十五回 夜宴で不吉な音が響き、中秋の新しい詩にも悲しい予兆が現れる
第七十六回 凸碧堂の笛が寂しさを誘い、凹晶館で黛玉と史湘雲が物悲しい詩をつなぐ
第七十七回 晴雯が無実のまま追い出されて若く死に、役者の芳官は世俗の縁を断って尼になる
第七十八回 賈政が娘将軍をたたえる詞を求め、宝玉は晴雯を悼む『芙蓉誄』を書く
第七十九回 薛蟠が気性の激しい夏金桂との結婚を悔やみ、迎春は残酷な孫紹祖に嫁ぐ
第八十回 香菱が薛蟠からひどく打たれ、道士が嫉妬深い妻を治すというでたらめな処方を語る
第八十一回 四人の娘が魚を釣って運勢を占い、宝玉は厳しく言われて再び家の学校へ通う
第八十二回 老先生が道理を説いて宝玉を戒め、病む黛玉は恐ろしい夢におびえる
第八十三回 宮中を見舞うと元妃が病にかかっており、宝釵は家の騒ぎに耐えて口をつぐむ
第八十四回 宝玉の学問を試したのち縁談が動き出し、賈環は子どもの病をめぐって再び恨みを抱く
第八十五回 賈政が郎中への昇進を知らせ、薛蟠はまたも流刑に関わる罪を招く
第八十六回 賄賂を受けた役人が薛蟠の裁判を覆し、黛玉が琴の書に込められた意味を説く
第八十七回 黛玉が秋の音を感じながら琴を弾いて昔を悲しみ、妙玉は座禅中に心を乱す
第八十八回 宝玉が家族を喜ばせるため孤児を褒め、賈珍が家の規律を正そうと乱暴な僕を打つ
第八十九回 亡き人の持ち物を見て宝玉が追悼の詞を作り、疑いに苦しむ黛玉は食事を断つ
第九十回 貧しい娘が綿入れをなくして騒ぎに耐え、果物を届けた若者が思いがけない企みに驚く
第九十一回 宝蟾が欲望のままに罠を仕掛け、宝玉は疑いを招く禅問答をする
第九十二回 巧姐が『女伝』を聞いて立派な女性に憧れ、賈政は真珠の品を見て人の出会いと別れを考える
第九十三回 甄家の使用人が賈家を頼り、水月庵では男女の醜聞が明るみに出る
第九十四回 季節外れの海棠の花を賈母が眺め、宝玉の通霊宝玉が失われて災いの兆しが現れる
第九十五回 誤った噂が現実となって元妃が亡くなり、偽物の玉にすり替えられた宝玉は正気を失う
第九十六回 王熙鳳が結婚相手を隠して計略をめぐらし、その秘密を知った黛玉は心を乱す
第九十七回 黛玉が原稿を焼いて恋を断ち、宝釵が花嫁となって正式な婚礼を挙げる
第九十八回 黛玉の魂が恨みを離れる天へ帰り、病む宝玉は思慕の涙を流す
第九十九回 役人の心得を守ろうとしても悪い使用人が規則を破り、官報を読んだ賈政は不安に襲われる
第一百回 香菱がさらに深い恨みを受け、遠くへ嫁ぐ探春を思って宝玉が別れを悲しむ
第一百一回 大観園の月夜に幽霊が人を驚かせ、散花寺のおみくじが異変を告げる
第一百二回 寧国府の一族が災いの病に倒れ、大観園ではまじないの水で悪霊を祓う
第一百三回 毒を企てた夏金桂が誤って自分の命を落とし、賈雨村は旧知に会いながら真の教えに気づかない
第一百四回 「酔金剛」と呼ばれる男の周辺で小さな争いが大騒ぎとなり、宝玉は昔の恋の痛みに触れて再び悲しむ
第一百五回 錦衣軍が寧国府を家宅捜索し、監察官が平安州の不正を訴える
第一百六回 王熙鳳が災いを招いたことを恥じ、賈母が天に祈って一家の災難を除こうとする
第一百七回 賈母が残る財産を分けて正しい道を示し、賈政は世襲の官職を取り戻して皇帝の恩を受ける
第一百八回 宝釵が無理に笑って誕生日を祝い、黛玉を思い続ける宝玉は幽霊の泣き声を聞く
第一百九回 五児が亡き人の魂を待つ者から思い違いの愛情を受け、迎春は苦しみの生を終えて本来の世界へ帰る
第一百十回 賈母が寿命を終えて亡くなり、王熙鳳は力を失って人々の心も離れていく
第一百十一回 鴛鴦が主人に殉じて命を絶ち、悪い使用人が盗賊を屋敷へ引き入れる
第一百十二回 妙玉が大きな災難に遭い、恨みを抱いて死んだ趙姨娘は冥界へ赴く
第一百十三回 王熙鳳が過去の罪を悔いて劉老女に娘を託し、情の深い侍女が宝玉への古いわだかまりを解く
第一百十四回 王熙鳳が幻の中で金陵へ帰り、甄応嘉は皇帝の恩を受けて都へ戻る
第一百十五回 惜春が周囲の思惑に迷わず出家の志を貫き、宝玉は自分と同じと思った相手に失望する
第一百十六回 宝玉が不思議な玉を取り戻して夢の世界で仙界との縁を悟り、賈母の棺を故郷へ送って孝行を果たす
第一百十七回 二人の女性が宝玉の出家を止めようと玉を守り、悪い息子は仲間が集まるのを喜んで一人で家を継ぐ
第一百十八回 母方の親族がわずかな恨みから弱い女性を苦しめ、妻や側室が謎めいた言葉に驚いて宝玉を諫める
第一百十九回 宝玉が科挙の地方試験に合格したのち俗世との縁を捨て、皇帝の恩によって賈家の家名が保たれる
第一百二十回 甄士隠が夢の世界の真相を詳しく語り、賈雨村が『紅楼夢』の物語を締めくくる
原文に近い直訳
第一回 甄士隠、夢幻のうちに通霊の玉を知り 賈雨村、風塵のうちに閨秀を懐う
第二回 賈夫人、揚州城に世を去り 冷子興、栄国府を説き明かす
第三回 内兄に託すべく、如海は西賓を薦め 外孫を迎えて、賈母は孤女をいたわる
第四回 薄命の女、よりにもよって薄命の男に逢い 葫蘆僧、葫蘆の事件を裁く
第五回 幻境に遊び、十二釵の運命を示され 仙醪を飲み、『紅楼夢』の曲を聴く
第六回 賈宝玉、魂は太虚境に遊び 警幻仙、曲に『紅楼夢』を演ず
第七回 宮花を届ける折、賈璉は熙鳳と戯れ 寧国府の宴にて、宝玉は秦鍾と出会う
第八回 賈宝玉、奇縁により金鎖を知り 薛宝釵、奇しくも通霊の玉を見知る
第九回 劣子を訓えて、李貴は厳しい叱責を受け 頑童を怒って、茗煙は書房で騒ぐ
第十回 金寡婦、利を貪って権勢に辱められ 張太医、病を論じて詳しく根源を究める
第十一回 誕生日を祝い、寧国府は家宴を設け 熙鳳を見て、賈瑞は邪な心を起こす
第十二回 王熙鳳、毒をもって相思の罠を仕掛け 賈天祥、正面から風月鑑を照らす
第十三回 秦可卿が死に、龍禁尉の位が授けられ 王熙鳳、寧国府の切り盛りを助ける
第十四回 林如海、揚州城に世を去り 賈宝玉、途上で北静王に謁す
第十五回 王鳳姐、鉄檻寺で権勢を弄し 秦鯨卿、饅頭庵で愉しみを得る
第十六回 賈元春、才を認められて鳳藻宮に選ばれ 秦鯨卿、若くして黄泉路へ逝く 第十七回 大観園で才を試して額の対句を題し 栄国府では帰省を迎えて元宵を祝う 第十八回 皇恩厚く元妃は父母を訪ね 天倫を楽しみ宝玉は才藻を披露する 第十九回 情こまやかな良宵、花は言葉を解し 思い綿々たる静日、玉は香を生ず 第二十回 王熙鳳、正論で嫉妬心を弾じ 林黛玉、巧みな言葉で甘え声をからかう 第二十一回 賢い襲人、すねながら宝玉を戒め 機転の利く平児、柔らかな言葉で賈璉を救う 第二十二回 曲文を聴いて宝玉は禅機を悟り 灯籠の謎を作って賈政は讖語を悲しむ 第二十三回 『西廂記』の妙なる詞が戯れ言に通じ 『牡丹亭』の艶なる曲が芳心を驚かす 第二十四回 酔金剛、財を軽んじて義侠を尊び 痴情の娘、帕を遺して相思を招く 第二十五回 魔法に魘され叔嫂は五鬼に遭い 通霊の玉を曇らされて二真人に救われる 第二十六回 蜂腰橋で言葉を設けて心事を伝え 瀟湘館で春の物憂さから幽情を発する 第二十七回 滴翠亭で宝釵は彩蝶と戯れ 埋香塚で黛玉は散る花に泣く 第二十八回 蔣玉菡、情を込めて茜香羅を贈り 薛宝釵、恥じらいながら紅麝の腕輪を身につける 第二十九回 福を享ける人は福深く、なお福を祈り 情を惜しむ女は情重く、ますます思い悩む 第三十回 宝釵、扇を借りて機に二重の当てこすりをし 齢官、薔薇を描いて痴情は局外に及ぶ 第三十一回 扇を裂いて千金の一笑をなし 麒麟によって白首の双星を伏す 第三十二回 胸の内を訴えて心迷う活宝玉 辱めを含んで情烈しく死ぬ金釧 第三十三回 兄弟は狙いすまして少し舌を動かし 不肖の種々により大いに笞打ちを受ける 第三十四回 情中の情、情ゆえに妹を思い 錯中の錯、錯りをもって兄を勧める 第三十五回 白玉釧、みずから蓮葉羹を味わい 黄金鶯、巧みに梅花絡を結ぶ 第三十六回 鴛鴦を刺繡して夢は絳芸軒を兆し 定めを悟って情は梨香院に目覚める 第三十七回 秋爽斎で偶然に海棠社を結び 蘅蕪院で夜に菊花の題を考える 第三十八回 林瀟湘、菊花詩の首位を奪い 薛蘅蕪、蟹の詠に諷して唱和する 第三十九回 村の老女は信口に任せて大法螺を吹き 情ある兄はひたすら根掘り葉掘り尋ねる 第四十回 史太君、二度にわたり大観園で宴し 金鴛鴦、三度牙牌令を宣する 第四十一回 賈宝玉、櫳翠庵で茶を味わい 劉老女、大酔して怡紅院に臥す 第四十二回 蘅蕪君、蘭の言葉で疑い癖を解き 瀟湘子、雅な戯れで余韻を補う 第四十三回 閑の楽しみに偶然金を集めて寿を祝い 尽きぬ情にしばし土を盛って香を焚く 第四十四回 思わぬ変事に鳳姐は焼き餅を焼き 望外の喜びに平児は化粧を整える 第四十五回 金蘭の契りに互いの胸中を語り 風雨の夕べ、憂いのうちに風雨の詞を作る 第四十六回 困った人には困った事が避けられず 鴛鴦という女は鴛鴦の縁を誓って絶つ 第四十七回 愚かな覇王、色を求めて痛打され 冷たい若君、禍を恐れて他郷へ走る 第四十八回 濫情の人は情に誤って遊芸を思い 雅を慕う女は雅会で苦心して詩を吟ずる 第四十九回 瑠璃の世界に白雪と紅梅 脂粉の乙女らは生臭を割き羊肉を食らう 第五十回 蘆雪亭で即景詩の聯作を競い 暖香塢で春灯の謎を雅やかに作る 第五十一回 薛小妹、新たに懐古詩を編み 藪医者、むやみに強い薬を用いる 第五十二回 機転の利く平児、情をもって蝦鬚鐲を隠し 勇ましい晴雯、病を押して雀金裘を繕う 第五十三回 寧国府、除夕に宗祠を祭り 栄国府、元宵に夜宴を開く 第五十四回 史太君、古臭い旧套を破り 王熙鳳、彩衣の戯れをまねる 第五十五回 実の娘を辱め、愚かな妾はつまらぬ意地を争い 幼い主を欺き、悪賢い奴婢は険しい心を蓄える 第五十六回 賢い探春、利を興して旧弊を除き 賢い宝釵、小さな恵みで大体を全うする 第五十七回 慧い紫鵑、情を込めた言葉で莽玉を試し 慈愛の姨母、優しい言葉で痴顰を慰める 第五十八回 杏の木陰で仮の鳳が虚の凰に泣き 茜紗窓で真情が痴情の理を推し量る 第五十九回 柳葉渚のほとりで鶯を怒り燕を叱り 絳芸軒の内で将を呼び符を飛ばす 第六十回 茉莉粉が薔薇硝の代わりとなり 玫瑰露から茯苓霜が現れる 第六十一回 鼠を投げて器を壊すのを恐れ、宝玉は贓物を隠し 冤罪を裁いて獄を決し、平児は権を行う 第六十二回 素直な湘雲、酔って芍薬の褥に眠り 呆けた香菱、情をもって石榴の裙を解く 第六十三回 怡紅院で寿を祝い、群芳は夜宴を開き 金丹に死して、ひとり艶やかな者が親の喪を取り仕切る 第六十四回 物静かな淑女、悲しみのうちに五美吟を題し 放蕩の若者、情にまかせて九龍佩を贈る 第六十五回 賈二舎、ひそかに尤二姨を娶り 尤三姐、柳二郎への嫁入りを望む 第六十六回 情ある妹、情を恥じて地府へ帰り 冷二郎、心も冷えて空門に入る 第六十七回 土産を見て顰卿は故郷を思い 秘密を聞いて鳳姐は家童を問いただす 第六十八回 苦しむ尤娘をだまして大観園へ入れ 嫉妬の鳳姐は寧国府で大暴れする 第六十九回 小細工を弄して借刀殺人を用い 大限を悟って生金を呑み自ら逝く 第七十回 林黛玉、桃花社を再建し 史湘雲、偶然に柳絮の詞を作る 第七十一回 わだかまりある人は故意にわだかまりを生じ 鴛鴦という女は思いがけず雄鴛鴦に出会う 第七十二回 王熙鳳、強がって病を言うのを恥じ 来旺の妻、権勢を頼んで縁組を押しつける 第七十三回 痴れた侍女、誤って繡春囊を拾い 気弱な令嬢、纍金鳳を問わず 第七十四回 奸讒に惑わされて大観園を捜索し 孤介を貫いて寧国府と縁を絶つ 第七十五回 夜宴を開けば異兆が悲音を発し 中秋を賞して新詞に佳讖を得る 第七十六回 凸碧堂で笛を聴いて淒清を感じ 凹晶館で詩を聯ねて寂寞を悲しむ 第七十七回 機転の利く侍女、無実を抱いて若く死に 美しい伶人、情を断って水月へ帰る 第七十八回 老学士、閑に姽嫿の詞を徴し 痴公子、芙蓉誄を作り上げる 第七十九回 薛文起、河東の獅子を娶ったことを悔い 賈迎春、中山の狼に誤って嫁ぐ 第八十回 美しい香菱、貪欲な夫の棒を受け 王道士、でたらめな嫉婦の処方を説く 第八十一回 旺相を占い、四美は魚を釣り 厳しい言葉を奉じ、二度家塾へ入る 第八十二回 老学究、義を講じて頑なな心を戒め 病む瀟湘、痴魂は悪夢に驚く 第八十三回 宮中を見舞えば賈元妃は病に染まり 閨中に騒ぎあって薛宝釵は声を呑む 第八十四回 文章を試して宝玉の縁談が始まり 驚風を診て賈環は再び怨みを結ぶ 第八十五回 賈存周、郎中への昇任を報じ 薛文起、再び流刑の罪を招く 第八十六回 私賄を受けた老官、案牘を覆し 閑情を寄せる淑女、琴書を解く 第八十七回 秋声に感じて琴を撫で往事を悲しみ 禅寂に坐して走火入魔となる 第八十八回 家族の歓びを博して宝玉は孤児を褒め 家法を正して賈珍は強情な僕を鞭打つ 第八十九回 人は亡く物は残り、公子は詞を作り 杯中の蛇影に顰卿は食を絶つ 第九十回 綿入れを失い、貧しい娘は嗷嘈に耐え 果物を送り、若者は測り難い事に驚く 第九十一回 淫心をほしいままにし、宝蟾は巧みに計を設け 疑陣を布き、宝玉はみだりに禅を談ずる 第九十二回 『女伝』を評して巧姐は賢良を慕い 母珠を玩んで賈政は聚散を悟る 第九十三回 甄家の僕は賈家の門へ身を寄せ 水月庵では風月の事件が覆る 第九十四回 海棠を宴して賈母は花の妖を賞し 宝玉を失って通霊は奇禍を知らせる 第九十五回 誤伝が真実となって元妃は薨じ 偽物を本物に混ぜて宝玉は狂う 第九十六回 消息を隠して鳳姐は奇計を設け 仕掛けが漏れて顰児は本性を失う 第九十七回 林黛玉、稿を焼いて痴情を断ち 薛宝釵、閨を出て大礼を成す 第九十八回 苦しむ絳珠の魂は離恨天へ帰り 病む神瑛の涙は相思の地に降り注ぐ 第九十九回 官箴を守るも悪奴とともに例を破り 邸報を読んで老舅はひとり驚きを担う 第一百回 好事を壊され香菱は深い恨みを結び 遠嫁を悲しんで宝玉は別離の情を抱く 第一百一回 大観園の月夜に幽魂を警め 散花寺の神籤が異兆を占う 第一百二回 寧国府の骨肉は災祲に病み 大観園では符水で妖孽を祓う 第一百三回 毒計を施して金桂は自ら身を焼き 真の禅に昧く雨村はむなしく旧知に会う 第一百四回 酔金剛、小さなどじょうから大波を起こし 痴公子、残る痛みに以前の情を刺激される 第一百五回 錦衣軍、寧国府を家宅捜索し 驄馬使、平安州を弾劾する 第一百六回 王熙鳳、禍を招いて羞恥を抱き 賈太君、天に祈って災患を消す 第一百七回 余財を分けて賈母は大義を明らかにし 世襲職を復して政老は天恩を受ける 第一百八回 無理に笑って蘅蕪は誕生日を祝い 死ぬほどの思いで瀟湘は鬼哭を聞く 第一百九回 芳魂を待ち、五児は誤った愛を受け 孽債を返し、迎女は真元へ帰る 第一百十回 史太君、寿命尽きて地府へ帰り 王鳳姐、力尽きて人心を失う 第一百十一回 鴛鴦女、主に殉じて太虚へ登り 犬豚の奴、天を欺いて盗賊仲間を招く 第一百十二回 生ける冤孽、妙姑は大劫に遭い 死せる讐仇、趙妾は冥曹へ赴く 第一百十三回 宿世の冤を懺悔して鳳姐は村の老女に託し 旧い憾みを解いて情ある侍女は痴郎に感じ入る 第一百十四回 王熙鳳、幻を歴て金陵へ帰り 甄応嘉、恩を受けて玉闕へ戻る 第一百十五回 偏愛に惑い惜春は素志を貫き 同類と証して宝玉は知己を失う 第一百十六回 通霊を得て幻境で仙縁を悟り 慈母の柩を故郷へ送り孝道を全うする 第一百十七回 超凡を阻み佳人二人が玉を守り 徒党の集まりを喜んで悪子がひとり家を継ぐ 第一百十八回 わずかな嫌疑を覚えて舅兄は弱い女を欺き 謎めく言葉に驚いて妻妾は痴人を諫める 第一百十九回 郷試に合格した宝玉は塵縁を捨て 皇恩を受けて賈家は世の恵みを延ばす 第一百二十回 甄隠士、太虚の事情を詳しく説き 賈雨村、『紅楼夢』を締めくくる