『オデュッセイア』第2巻第296–322行――テレマコス、旅を拒まず宴席を離れる


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平易な日本語

アテナがそう言うと、テレマコスは神の声を聞いたため、もうそこにとどまりませんでした。胸を痛めながら家へ向かうと、広間には傲慢な求婚者たちがいました。山羊を料理しようとしていて、中庭には肥えた豚も置いてありました。

アンティノオスは笑いながらテレマコスのところへ来て、親しげに手を取りました。「大言壮語する人よ、これ以上、胸の中で悪い行いや言葉を気にするな。それより、以前のように私と食べ、飲もう。アカイア人たちは、お前のために必要なものを用意してくれる。船と百人の漕ぎ手もそろえ、立派な父の消息を尋ねに、神聖なピュロスへすぐ行けるようにしよう。」

語句訳注
アンティノオス求婚者の一人です。ここではテレマコスに食事を勧め、旅のための船と漕ぎ手を用意すると言います。
語句訳注
百人の漕ぎ手アンティノオスが、テレマコスの旅のために船と一緒に用意すると述べた人数です。

テレマコスは答えました。「アンティノオス、あなたたちの横暴のもとで、気の進まないまま一緒に食べ、楽しくくつろぐことなどできない。私がまだ幼かったころ、あなたたち求婚者は、私の大切な財産をたくさん、価値あるものまで食いつぶした。もう十分ではないか。だが今、私は成長し、ほかの人たちの言葉を聞いて、いろいろ知るようになった。胸の内の気力も大きくなっている。お前たちに苦しい死の運命をもたらせるか、試してみよう。ピュロスへ行くにせよ、この土地にとどまるにせよ。私は旅に出る。この旅はむだにはならない。船や漕ぎ手の持ち主にはなれなくても、乗客として行く。それがお前たちには好都合らしいな。」

語句訳注
乗客ここでは、船や漕ぎ手を所有・指揮する立場ではなく、船に乗って旅する者を指します。

そう言うとテレマコスは、アンティノオスの手から自分の手を軽々と引き離しました。求婚者たちは館で宴を続けました。

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