『紅楼夢』程偉元序・高鶚序と全120回目録

2026-10-01 記
トピック: AI記事: 中国古典: 紅楼夢

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程偉元序

小説『紅楼夢』は、もとは『石頭記』という名であった。作者についての言い伝えは一定せず、結局のところ、誰の手になるものかは分からない。ただ、書中には、曹雪芹先生が何度か削り改めたと記されている。愛好家たちはそれぞれ一部を書き写して伝え、廟の境内に立つ市に出れば、その値は数十金にもつり上がった。まさに、足もないのに世に広まってゆくもの、といえよう。

ところが、もとの目録には百二十巻とあるのに、いま伝わっているのはわずか八十巻で、完全な形ではなかった。ときおり全巻揃いだと称するものがあっても、調べてみれば、やはり八十巻にすぎず、読者はたいそう残念に思っていた。不才の私は、この書にもともと百二十巻の目録がある以上、全本がないはずはないと考えた。そこで力を尽くして探し求め、蔵書家のもとから古紙の山に至るまで、くまなく心を配った。だが、数年をかけても、集まったのはようやく二十余巻であった。

ある日たまたま、小鼓を鳴らして売り歩く行商人の荷の中に十余巻を見つけ、すぐに高値で買い取った。喜んで繰り返し読んでみると、物語の前後の起伏には、なおつながりがあった。しかし文字はかすれ乱れ、ほとんど整理のしようがなかった。そこで友人とともに念入りに選り分け、長すぎるところを削り、不足を補って、全巻を清書した。さらに版を刻ませ、同好の人々に広く供することにした。『紅楼夢』全書は、こうして初めて完成を告げたのである。

書が出来上がったので、あわせてその成立のいきさつを記し、天下の諸君にお知らせする。同好の方々にも、ひと足先に目にする喜びを味わっていただけるのではなかろうか。

小泉こと程偉元、記す。

高鶚序

私は、『紅楼夢』が人々の口にのぼり、広く親しまれるようになってから、すでに二十余年になると聞いている。けれども、これまで完全な一揃いも、定まった本文もなかった。以前、友人から借りて読んだことがあるが、鼎かなえの中身を指先でひとなめしただけに等しく、全体を味わえないことを残念に思っていた。

今年の春、友人の程小泉先生が私を訪ね、買い集めた全書を見せて、こう言った。

「これは、私が数年をかけ、一銖いっしゅずつ、一寸ずつ積み重ねてきた苦心の成果です。これから版木に付し、同好の人々に広く供しようと思います。あなたには暇があり、私はもう疲れ果てました。どうか、この仕事を分担してくれませんか」

私は、この書が稗官野史はいかんやしの類ではあっても、なお名教めいきょうの道に背くものではないと考え、喜んでお引き受けした。まさに、宝を見分けたペルシア人のような幸いと思い、ついにその仕事を助けた。作業が終わったので、その始終を記して読者に告げる。

鉄嶺の高鶚、序を記し、あわせて書す。

時に乾隆辛亥、冬至の五日後。

訳注

訳文中の語句訳注
鼎かなえ古代中国で煮炊きに使われた、三本脚の青銅器。「鼎の中身を指先でひとなめしただけ」は、作品の一部分だけを読んだことのたとえ。
一銖いっしゅ「銖」は古代中国のごく小さな重さの単位。ここでは、わずかなものを少しずつ積み重ねたことを表す。
稗官野史はいかんやし正史ではなく、民間に伝わる出来事や風聞を記した書物、または小説の類。「稗官」は巷の話を集めた下級の役人、「野史」は民間で書かれた歴史書をいう。ここでは『紅楼夢』のような物語文学を指す。
名教めいきょう君臣・親子などの名分を重んじる、儒教的な倫理と社会秩序。
宝を見分けたペルシア人宝石を見分けることに長けたペルシア人が、真の宝を見いだすという故事的表現。高鶚は、全本の『紅楼夢』に出会えた幸運をこう表した。

目録

読みやすい現代日本語訳

第一回 甄士隠しんしいんが夢の中で不思議な玉を知り、賈雨村かうそんがまだ世に出る前に良家の娘を思う

第二回 賈夫人かふじんが揚州ようしゅうで亡くなり、冷子興れいしこうが栄国府えいこくふの事情を語る

第三回 林如海りんじょかいが妻の兄に家庭教師を推薦し、賈母かぼが母を亡くした孫娘を迎える

第四回 薄命な娘が薄命な若者に出会い、ひょうたん僧が「ひょうたん事件」を裁く

第五回 宝玉ほうぎょくが不思議な夢の世界で十二人の女性たちの運命を知らされ、仙界の酒を飲んで『紅楼夢こうろうむ』の曲を聴く

第六回 賈宝玉かほうぎょくが魂で太虚境たいきょきょうを訪れ、警幻仙姑けいげんせんこが『紅楼夢こうろうむ』の曲を演奏する

第七回 宮中風の造花が届けられるなか、賈璉かれんと王熙鳳おうきほうが戯れ、宝玉ほうぎょくが秦鍾しんしょうと出会う

第八回 宝玉ほうぎょくが宝釵ほうさの金の首飾りを知り、薛宝釵せつほうさが宝玉ほうぎょくの不思議な玉を見る

第九回 李貴りきが厳しく叱られ、茗煙めいえんが学問部屋で騒ぎを起こす

第十回 金寡婦きんかふが利益を求めて辱めを受け、張太医ちょうたいいが病の原因を詳しく診る

第十一回 寧国府ねいこくふで誕生日の宴が開かれ、賈瑞かずいが熙鳳きほうに邪な思いを抱く

第十二回 王熙鳳おうきほうが恋心を利用した残酷な罠を仕掛け、賈瑞かずいが風月鑑ふうげつかんの表側を見る

第十三回 秦可卿しんかけいが亡くなり、王熙鳳おうきほうが寧国府ねいこくふの葬儀を取り仕切る

第十四回 林如海りんじょかいが揚州ようしゅうで亡くなり、宝玉ほうぎょくが道中で北静王ほくせいおうに会う

第十五回 王熙鳳おうきほうが鉄檻寺てっかんじで権力を振るい、秦鍾しんしょうが饅頭庵まんとうあんで恋にふける

第十六回 賈元春かげんしゅんが才能を認められて宮廷に入り、秦鍾しんしょうが若くして亡くなる

第十七回 大観園だいかんえんで宝玉ほうぎょくが建物の名を考え、栄国府えいこくふでは元春の帰省を迎える準備が進む

第十八回 元妃げんぴが皇帝の許しを得て両親を訪ね、宝玉ほうぎょくが詩の才能を披露する

第十九回 襲人しゅうじんが宝玉ほうぎょくの気持ちをやさしく受け止め、黛玉たいぎょくとの静かな時間に香りが漂う

第二十回 王熙鳳おうきほうが嫉妬をめぐる騒ぎを正論で収め、林黛玉りんたいぎょくが巧みな言葉で宝玉ほうぎょくをからかう

第二十一回 襲人しゅうじんが宝玉ほうぎょくをたしなめ、平児へいじが穏やかな言葉で賈璉かれんを救う

第二十二回 曲を聴いた宝玉ほうぎょくが禅の意味を悟り、賈政かせいが灯籠の謎に不吉な兆しを感じる

第二十三回 宝玉ほうぎょくと黛玉たいぎょくが『西廂記せいそうき』の言葉で戯れ、『牡丹亭ぼたんてい』の歌が黛玉たいぎょくの心を揺らす

第二十四回 倪二げいじが金に執着せず友人を助け、小紅しょうこうが落とした手巾から恋が動き出す

第二十五回 宝玉ほうぎょくと王熙鳳おうきほうが邪術に倒れ、二人の道人が通霊宝玉つうれいほうぎょくの力をよみがえらせる

第二十六回 蜂腰橋ほうようきょうで思いを伝える言葉が交わされ、瀟湘館しょうしょうかんでは春の物憂さが黛玉たいぎょくの恋心を深める

第二十七回 滴翠亭てきすいていで宝釵ほうさが蝶を追い、黛玉たいぎょくは落ちた花を葬って涙を流す

第二十八回 蔣玉菡しょうぎょくかんが宝玉ほうぎょくに茜色の帯を贈り、薛宝釵せつほうさは赤い香玉の腕飾りを受け取って恥じらう

第二十九回 福に恵まれた人々がさらに幸福を祈る一方、情の深い黛玉たいぎょくは思い悩みを募らせる

第三十回 宝釵ほうさが扇を使って二重の皮肉を返し、齢官れいかんが地面に「薔」の字を書き続ける

第三十一回 晴雯せいうんが扇を破って宝玉ほうぎょくを笑わせ、金の麒麟きりんが将来の縁を暗示する

第三十二回 宝玉ほうぎょくが黛玉たいぎょくに本心を打ち明け、辱めを受けた金釧きんせんが命を絶つ

第三十三回 賈環かかんの告げ口をきっかけに、賈政かせいが宝玉ほうぎょくを激しく打つ

第三十四回 打たれた宝玉ほうぎょくをめぐって人々の思いが交錯し、気遣いの言葉さえ新たな誤解を生む

第三十五回 玉釧ぎょくせんが宝玉ほうぎょくに蓮葉羹れんようこうを食べさせ、鶯児おうじが梅の花の飾り紐を結ぶ

第三十六回 襲人しゅうじんの刺繡が宝玉ほうぎょくの住まいの夢を暗示し、梨香院りこういんで宝玉ほうぎょくが人の恋心を悟る

第三十七回 探春たんしゅんたちが海棠詩社かいどうししゃを結び、宝釵ほうさが菊の詩題を考える

第三十八回 黛玉たいぎょくが菊花詩の首位となり、宝釵ほうさが蟹を題材に風刺の詩を詠む

第三十九回 劉老女りゅうろうじょが思いつきの物語を語り、宝玉ほうぎょくがその話を本気にして詳しく調べる

第四十回 賈母かぼが大観園だいかんえんで二度の宴を開き、鴛鴦えんおうが札を使った酒宴の遊びを取り仕切る

第四十一回 宝玉ほうぎょくが櫳翠庵ろうすいあんで茶を味わい、劉老女りゅうろうじょが酔って怡紅院いこういんで眠り込む

第四十二回 宝釵ほうさが親身な言葉で黛玉たいぎょくのわだかまりを解き、黛玉たいぎょくが上品な冗談で宴の後日談を締めくくる

第四十三回 皆が金を集めて王熙鳳おうきほうの誕生日を祝い、宝玉ほうぎょくは土を盛ってひそかに金釧きんせんを弔う

第四十四回 王熙鳳おうきほうが賈璉かれんの浮気に激しく嫉妬し、巻き込まれた平児へいじがようやく身なりを整える

第四十五回 宝釵ほうさと黛玉たいぎょくが互いの胸の内を語り、雨の夜に黛玉たいぎょくが『秋窓風雨夕しゅうそうふううせき』を作る

第四十六回 賈赦かしゃが鴛鴦えんおうを側室に望み、鴛鴦えんおうは決して結婚しないと誓う

第四十七回 薛蟠せつばんが柳湘蓮りゅうしょうれんに言い寄って痛い目に遭い、柳湘蓮りゅうしょうれんは災いを避けて旅立つ

第四十八回 放蕩者の薛蟠せつばんが思い違いから旅商いを思い立ち、香菱こうりょうが詩作に苦心する

第四十九回 雪と紅梅が輝く大観園だいかんえんで、華やかな娘たちが鹿肉を焼いて味わう

第五十回 蘆雪亭ろせつていで雪景色の連句を競い、暖香塢だんこうおで春の灯籠の謎を作る

第五十一回 薛宝琴せつほうきんが懐古詩を作り、藪医者が病気の晴雯せいうんに強すぎる薬を出す

第五十二回 平児へいじが腕輪の盗難を穏便に収め、晴雯せいうんが病を押して孔雀糸の外套を繕う

第五十三回 寧国府ねいこくふが大晦日に祖先を祭り、栄国府えいこくふが元宵節の夜宴を開く

第五十四回 賈母かぼが古臭い物語の型を批評し、王熙鳳おうきほうが孝行話をまねて皆を楽しませる

第五十五回 趙姨娘ちょういじょうが実の娘の探春たんしゅんに無理を言い、使用人たちは若い管理役につけ込もうとする

第五十六回 探春たんしゅんが屋敷の古い弊害を改め、宝釵ほうさが小さな心配りで全体をまとめる

第五十七回 紫鵑しけんが黛玉たいぎょくの帰郷話で宝玉ほうぎょくの心を試し、薛姨媽せついまが黛玉たいぎょくをやさしく慰める

第五十八回 若い役者たちが亡き相手をひそかに悼み、宝玉ほうぎょくがその一途な思いを理解する

第五十九回 柳葉渚りゅうようしょで娘たちと母親が言い争い、絳芸軒こうげいけんでは宝玉ほうぎょくが騒ぎを収めようとする

第六十回 ジャスミンの粉が薔薇の香料の代わりに使われ、薔薇の露をめぐる争いから茯苓霜ぶくりょうそうの一件が起こる

第六十一回 宝玉ほうぎょくが盗みの件をかばって隠し、平児へいじが事情を見極めて穏便に裁く

第六十二回 史湘雲ししょううんが酔って芍薬の花の中で眠り、香菱こうりょうが汚れた石榴裙ざくろのもすそを着替える

第六十三回 怡紅院いこういんで娘たちが宝玉ほうぎょくの誕生日を祝い、尤氏ゆうしが賈敬かけいの葬儀を取り仕切る

第六十四回 黛玉たいぎょくが五人の美女を悼む詩を作り、賈璉かれんが尤二姐ゆうじしゃに九つの龍の飾りを贈る

第六十五回 賈璉かれんがひそかに尤二姐ゆうじしゃを妻に迎え、尤三姐ゆうさんしゃは柳湘蓮りゅうしょうれんとの結婚を望む

第六十六回 尤三姐ゆうさんしゃが疑われた恥から命を絶ち、柳湘蓮りゅうしょうれんは世を捨てて出家する

第六十七回 贈られた土産に黛玉たいぎょくが故郷を思い、王熙鳳おうきほうが秘密を知った家の者を問い詰める

第六十八回 王熙鳳おうきほうが尤二姐ゆうじしゃをだまして大観園だいかんえんへ迎え入れ、寧国府ねいこくふで激しく騒ぎ立てる

第六十九回 王熙鳳おうきほうが人の手を借りて尤二姐ゆうじしゃを追い詰め、尤二姐ゆうじしゃは金を呑んで命を絶つ

第七十回 黛玉たいぎょくが桃花詩社とうかししゃを再び開き、史湘雲ししょううんが柳の綿毛を詠んだ詞を作る

第七十一回 わだかまりを抱く者が新たな争いを起こし、鴛鴦えんおうは思いがけず男女の密会を目にする

第七十二回 王熙鳳おうきほうが強がって病を隠し、来旺らいおうの妻が権勢を使って縁組を押しつける

第七十三回 侍女が男女の絵を刺繡した袋を拾い、迎春げいしゅんは盗まれた金の鳳凰飾りを追及しない

第七十四回 よこしまな告げ口から大観園だいかんえんの捜索が行われ、惜春せきしゅんは寧国府ねいこくふとの縁を断つ

第七十五回 夜宴で不吉な音が響き、中秋の新しい詩にも悲しい予兆が現れる

第七十六回 凸碧堂とつへきどうの笛が寂しさを誘い、凹晶館おうしょうかんで黛玉たいぎょくと史湘雲ししょううんが物悲しい詩をつなぐ

第七十七回 晴雯せいうんが無実のまま追い出されて若く死に、役者の芳官ほうかんは世俗の縁を断って尼になる

第七十八回 賈政かせいが娘将軍をたたえる詞を求め、宝玉ほうぎょくは晴雯せいうんを悼む『芙蓉誄ふようるい』を書く

第七十九回 薛蟠せつばんが気性の激しい夏金桂かきんけいとの結婚を悔やみ、迎春げいしゅんは残酷な孫紹祖そんしょうそに嫁ぐ

第八十回 香菱こうりょうが薛蟠せつばんからひどく打たれ、道士が嫉妬深い妻を治すというでたらめな処方を語る

第八十一回 四人の娘が魚を釣って運勢を占い、宝玉ほうぎょくは厳しく言われて再び家の学校へ通う

第八十二回 老先生が道理を説いて宝玉ほうぎょくを戒め、病む黛玉たいぎょくは恐ろしい夢におびえる

第八十三回 宮中を見舞うと元妃げんぴが病にかかっており、宝釵ほうさは家の騒ぎに耐えて口をつぐむ

第八十四回 宝玉ほうぎょくの学問を試したのち縁談が動き出し、賈環かかんは子どもの病をめぐって再び恨みを抱く

第八十五回 賈政かせいが郎中ろうちゅうへの昇進を知らせ、薛蟠せつばんはまたも流刑に関わる罪を招く

第八十六回 賄賂を受けた役人が薛蟠せつばんの裁判を覆し、黛玉たいぎょくが琴の書に込められた意味を説く

第八十七回 黛玉たいぎょくが秋の音を感じながら琴を弾いて昔を悲しみ、妙玉みょうぎょくは座禅中に心を乱す

第八十八回 宝玉ほうぎょくが家族を喜ばせるため孤児を褒め、賈珍かちんが家の規律を正そうと乱暴な僕を打つ

第八十九回 亡き人の持ち物を見て宝玉ほうぎょくが追悼の詞を作り、疑いに苦しむ黛玉たいぎょくは食事を断つ

第九十回 貧しい娘が綿入れをなくして騒ぎに耐え、果物を届けた若者が思いがけない企みに驚く

第九十一回 宝蟾ほうせんが欲望のままに罠を仕掛け、宝玉ほうぎょくは疑いを招く禅問答をする

第九十二回 巧姐こうしゃが『女伝じょでん』を聞いて立派な女性に憧れ、賈政かせいは真珠の品を見て人の出会いと別れを考える

第九十三回 甄家しんけの使用人が賈家かけを頼り、水月庵すいげつあんでは男女の醜聞が明るみに出る

第九十四回 季節外れの海棠の花を賈母かぼが眺め、宝玉ほうぎょくの通霊宝玉つうれいほうぎょくが失われて災いの兆しが現れる

第九十五回 誤った噂が現実となって元妃げんぴが亡くなり、偽物の玉にすり替えられた宝玉ほうぎょくは正気を失う

第九十六回 王熙鳳おうきほうが結婚相手を隠して計略をめぐらし、その秘密を知った黛玉たいぎょくは心を乱す

第九十七回 黛玉たいぎょくが原稿を焼いて恋を断ち、宝釵ほうさが花嫁となって正式な婚礼を挙げる

第九十八回 黛玉たいぎょくの魂が恨みを離れる天へ帰り、病む宝玉ほうぎょくは思慕の涙を流す

第九十九回 役人の心得を守ろうとしても悪い使用人が規則を破り、官報を読んだ賈政かせいは不安に襲われる

第一百回 香菱こうりょうがさらに深い恨みを受け、遠くへ嫁ぐ探春たんしゅんを思って宝玉ほうぎょくが別れを悲しむ

第一百一回 大観園だいかんえんの月夜に幽霊が人を驚かせ、散花寺さんかじのおみくじが異変を告げる

第一百二回 寧国府ねいこくふの一族が災いの病に倒れ、大観園だいかんえんではまじないの水で悪霊を祓う

第一百三回 毒を企てた夏金桂かきんけいが誤って自分の命を落とし、賈雨村かうそんは旧知に会いながら真の教えに気づかない

第一百四回 「酔金剛すいこんごう」と呼ばれる男の周辺で小さな争いが大騒ぎとなり、宝玉ほうぎょくは昔の恋の痛みに触れて再び悲しむ

第一百五回 錦衣軍きんいぐんが寧国府ねいこくふを家宅捜索し、監察官が平安州へいあんしゅうの不正を訴える

第一百六回 王熙鳳おうきほうが災いを招いたことを恥じ、賈母かぼが天に祈って一家の災難を除こうとする

第一百七回 賈母かぼが残る財産を分けて正しい道を示し、賈政かせいは世襲の官職を取り戻して皇帝の恩を受ける

第一百八回 宝釵ほうさが無理に笑って誕生日を祝い、黛玉たいぎょくを思い続ける宝玉ほうぎょくは幽霊の泣き声を聞く

第一百九回 五児ごじが亡き人の魂を待つ者から思い違いの愛情を受け、迎春げいしゅんは苦しみの生を終えて本来の世界へ帰る

第一百十回 賈母かぼが寿命を終えて亡くなり、王熙鳳おうきほうは力を失って人々の心も離れていく

第一百十一回 鴛鴦えんおうが主人に殉じて命を絶ち、悪い使用人が盗賊を屋敷へ引き入れる

第一百十二回 妙玉みょうぎょくが大きな災難に遭い、恨みを抱いて死んだ趙姨娘ちょういじょうは冥界へ赴く

第一百十三回 王熙鳳おうきほうが過去の罪を悔いて劉老女りゅうろうじょに娘を託し、情の深い侍女が宝玉ほうぎょくへの古いわだかまりを解く

第一百十四回 王熙鳳おうきほうが幻の中で金陵きんりょうへ帰り、甄応嘉しんおうかは皇帝の恩を受けて都へ戻る

第一百十五回 惜春せきしゅんが周囲の思惑に迷わず出家の志を貫き、宝玉ほうぎょくは自分と同じと思った相手に失望する

第一百十六回 宝玉ほうぎょくが不思議な玉を取り戻して夢の世界で仙界との縁を悟り、賈母かぼの棺を故郷へ送って孝行を果たす

第一百十七回 二人の女性が宝玉ほうぎょくの出家を止めようと玉を守り、悪い息子は仲間が集まるのを喜んで一人で家を継ぐ

第一百十八回 母方の親族がわずかな恨みから弱い女性を苦しめ、妻や側室が謎めいた言葉に驚いて宝玉ほうぎょくを諫める

第一百十九回 宝玉ほうぎょくが科挙の地方試験に合格したのち俗世との縁を捨て、皇帝の恩によって賈家かけの家名が保たれる

第一百二十回 甄士隠しんしいんが夢の世界の真相を詳しく語り、賈雨村かうそんが『紅楼夢こうろうむ』の物語を締めくくる

原文に近い直訳

第一回 甄士隠しんしいん、夢幻むげんのうちに通霊つうれいの玉を知り 賈雨村かうそん、風塵ふうじんのうちに閨秀けいしゅうを懐う

第二回 賈夫人かふじん、揚州城ようしゅうじょうに世を去り 冷子興れいしこう、栄国府えいこくふを説き明かす

第三回 内兄ないけいに託すべく、如海じょかいは西賓せいひんを薦め 外孫がいそんを迎えて、賈母かぼは孤女こじょをいたわる

第四回 薄命はくめいの女、よりにもよって薄命の男に逢い 葫蘆僧ころそう、葫蘆ころの事件を裁く

第五回 幻境げんきょうに遊び、十二釵じゅうにさの運命を示され 仙醪せんろうを飲み、『紅楼夢』の曲を聴く

第六回 賈宝玉かほうぎょく、魂は太虚境たいきょきょうに遊び 警幻仙けいげんせん、曲に『紅楼夢』を演ず

第七回 宮花きゅうかを届ける折、賈璉かれんは熙鳳きほうと戯れ 寧国府ねいこくふの宴にて、宝玉は秦鍾しんしょうと出会う

第八回 賈宝玉かほうぎょく、奇縁により金鎖きんさを知り 薛宝釵せつほうさ、奇しくも通霊の玉を見知る

第九回 劣子を訓えて、李貴りきは厳しい叱責を受け 頑童を怒って、茗煙めいえんは書房で騒ぐ

第十回 金寡婦きんかふ、利を貪って権勢に辱められ 張太医ちょうたいい、病を論じて詳しく根源を究める

第十一回 誕生日を祝い、寧国府は家宴を設け 熙鳳を見て、賈瑞かずいは邪な心を起こす

第十二回 王熙鳳おうきほう、毒をもって相思の罠を仕掛け 賈天祥かてんしょう、正面から風月鑑ふうげつかんを照らす

第十三回 秦可卿しんかけいが死に、龍禁尉りゅうきんいの位が授けられ 王熙鳳、寧国府の切り盛りを助ける

第十四回 林如海りんじょかい、揚州城に世を去り 賈宝玉、途上で北静王ほくせいおうに謁す

第十五回 王鳳姐おうほうしゃ、鉄檻寺てっかんじで権勢を弄し 秦鯨卿しんげいけい、饅頭庵まんとうあんで愉しみを得る

第十六回 賈元春かげんしゅん、才を認められて鳳藻宮ほうそうきゅうに選ばれ 秦鯨卿しんげいけい、若くして黄泉路こうせんろへ逝く 第十七回 大観園だいかんえんで才を試して額の対句を題し 栄国府えいこくふでは帰省を迎えて元宵げんしょうを祝う 第十八回 皇恩こうおん厚く元妃げんぴは父母を訪ね 天倫てんりんを楽しみ宝玉ほうぎょくは才藻さいそうを披露する 第十九回 情こまやかな良宵りょうしょう、花は言葉を解し 思い綿々めんめんたる静日、玉は香を生ず 第二十回 王熙鳳おうきほう、正論で嫉妬心を弾じ 林黛玉りんたいぎょく、巧みな言葉で甘え声をからかう 第二十一回 賢い襲人しゅうじん、すねながら宝玉ほうぎょくを戒め 機転の利く平児へいじ、柔らかな言葉で賈璉かれんを救う 第二十二回 曲文を聴いて宝玉ほうぎょくは禅機ぜんきを悟り 灯籠の謎を作って賈政かせいは讖語しんごを悲しむ 第二十三回 『西廂記せいそうき』の妙なる詞が戯れ言に通じ 『牡丹亭ぼたんてい』の艶なる曲が芳心ほうしんを驚かす 第二十四回 酔金剛すいこんごう、財を軽んじて義侠ぎきょうを尊び 痴情の娘、帕はんかちを遺して相思そうしを招く 第二十五回 魔法に魘うなされ叔嫂しゅくそうは五鬼ごきに遭い 通霊つうれいの玉を曇らされて二真人しんじんに救われる 第二十六回 蜂腰橋ほうようきょうで言葉を設けて心事を伝え 瀟湘館しょうしょうかんで春の物憂さから幽情ゆうじょうを発する 第二十七回 滴翠亭てきすいていで宝釵ほうさは彩蝶さいちょうと戯れ 埋香塚まいこうちょうで黛玉たいぎょくは散る花に泣く 第二十八回 蔣玉菡しょうぎょくかん、情を込めて茜香羅せんこうらを贈り 薛宝釵せつほうさ、恥じらいながら紅麝の腕輪こうじゃのうでわを身につける 第二十九回 福を享ける人は福深く、なお福を祈り 情を惜しむ女は情重く、ますます思い悩む 第三十回 宝釵ほうさ、扇を借りて機に二重の当てこすりをし 齢官れいかん、薔薇しょうびを描いて痴情は局外に及ぶ 第三十一回 扇を裂いて千金の一笑せんきんのいっしょうをなし 麒麟きりんによって白首の双星はくしゅのそうせいを伏す 第三十二回 胸の内を訴えて心迷う活宝玉かつほうぎょく 辱めを含んで情烈しく死ぬ金釧きんせん 第三十三回 兄弟は狙いすまして少し舌を動かし 不肖の種々により大いに笞打ちむちうちを受ける 第三十四回 情中の情、情ゆえに妹を思い 錯中の錯、錯りあやまりをもって兄を勧める 第三十五回 白玉釧はくぎょくせん、みずから蓮葉羹れんようこうを味わい 黄金鶯こうきんおう、巧みに梅花絡ばいからくを結ぶ 第三十六回 鴛鴦えんおうを刺繡ししゅうして夢は絳芸軒こうげいけんを兆し 定めを悟って情は梨香院りこういんに目覚める 第三十七回 秋爽斎しゅうそうさいで偶然に海棠社かいどうしゃを結び 蘅蕪院こうぶいんで夜に菊花の題を考える 第三十八回 林瀟湘りんしょうしょう、菊花詩の首位を奪い 薛蘅蕪せつこうぶ、蟹の詠に諷してふうして唱和する 第三十九回 村の老女は信口しんこうに任せて大法螺を吹き 情ある兄はひたすら根掘り葉掘り尋ねる 第四十回 史太君したいくん、二度にわたり大観園だいかんえんで宴し 金鴛鴦きんえんおう、三度牙牌令がはいれいを宣する 第四十一回 賈宝玉かほうぎょく、櫳翠庵ろうすいあんで茶を味わい 劉老女りゅうろうじょ、大酔して怡紅院いこういんに臥す 第四十二回 蘅蕪君こうぶくん、蘭の言葉で疑い癖を解き 瀟湘子しょうしょうし、雅な戯れで余韻を補う 第四十三回 閑の楽しみに偶然金を集めて寿を祝い 尽きぬ情にしばし土を盛って香を焚く 第四十四回 思わぬ変事に鳳姐ほうしゃは焼き餅を焼き 望外の喜びに平児へいじは化粧を整える 第四十五回 金蘭の契りきんらんのちぎりに互いの胸中を語り 風雨の夕べ、憂いのうちに風雨の詞を作る 第四十六回 困った人には困った事が避けられず 鴛鴦えんおうという女は鴛鴦の縁を誓って絶つ 第四十七回 愚かな覇王はおう、色を求めて痛打され 冷たい若君、禍を恐れて他郷へ走る 第四十八回 濫情らんじょうの人は情に誤って遊芸を思い 雅を慕う女は雅会がかいで苦心して詩を吟ずる 第四十九回 瑠璃るりの世界に白雪と紅梅 脂粉しふんの乙女らは生臭を割き羊肉を食らう 第五十回 蘆雪亭ろせつていで即景詩の聯作れんさくを競い 暖香塢だんこうおで春灯の謎を雅やかに作る 第五十一回 薛小妹せつしょうまい、新たに懐古詩を編み 藪医者やぶいしゃ、むやみに強い薬を用いる 第五十二回 機転の利く平児へいじ、情をもって蝦鬚鐲かしゅたくを隠し 勇ましい晴雯せいうん、病を押して雀金裘じゃくきんきゅうを繕う 第五十三回 寧国府ねいこくふ、除夕じょせきに宗祠そうしを祭り 栄国府えいこくふ、元宵げんしょうに夜宴を開く 第五十四回 史太君したいくん、古臭い旧套を破り 王熙鳳おうきほう、彩衣の戯れさいいのたわむれをまねる 第五十五回 実の娘を辱め、愚かな妾はつまらぬ意地を争い 幼い主を欺き、悪賢い奴婢ぬひは険しい心を蓄える 第五十六回 賢い探春たんしゅん、利を興して旧弊を除き 賢い宝釵ほうさ、小さな恵みで大体を全うする 第五十七回 慧い紫鵑しけん、情を込めた言葉で莽玉もうぎょくを試し 慈愛の姨母いぼ、優しい言葉で痴顰ちひんを慰める 第五十八回 杏の木陰で仮の鳳おおとりが虚の凰おおとりに泣き 茜紗窓せんしゃそうで真情が痴情の理を推し量る 第五十九回 柳葉渚りゅうようしょのほとりで鶯を怒り燕を叱り 絳芸軒こうげいけんの内で将を呼び符を飛ばす 第六十回 茉莉粉まつりふんが薔薇硝しょうびしょうの代わりとなり 玫瑰露まいかいろから茯苓霜ぶくりょうそうが現れる 第六十一回 鼠を投げて器を壊すのを恐れ、宝玉ほうぎょくは贓物ぞうぶつを隠し 冤罪を裁いて獄を決し、平児へいじは権を行う 第六十二回 素直な湘雲しょううん、酔って芍薬しゃくやくの褥に眠り 呆けた香菱こうりょう、情をもって石榴ざくろの裙もすそを解く 第六十三回 怡紅院いこういんで寿を祝い、群芳は夜宴を開き 金丹きんたんに死して、ひとり艶やかな者が親の喪を取り仕切る 第六十四回 物静かな淑女、悲しみのうちに五美吟ごびぎんを題し 放蕩の若者、情にまかせて九龍佩きゅうりゅうはいを贈る 第六十五回 賈二舎かじしゃ、ひそかに尤二姨ゆうじいを娶り 尤三姐ゆうさんしゃ、柳二郎りゅうじろうへの嫁入りを望む 第六十六回 情ある妹、情を恥じて地府ちふへ帰り 冷二郎れいじろう、心も冷えて空門くうもんに入る 第六十七回 土産を見て顰卿ひんけいは故郷を思い 秘密を聞いて鳳姐ほうしゃは家童を問いただす 第六十八回 苦しむ尤娘ゆうじょうをだまして大観園だいかんえんへ入れ 嫉妬の鳳姐は寧国府ねいこくふで大暴れする 第六十九回 小細工を弄して借刀殺人しゃくとうさつじんを用い 大限たいげんを悟って生金しょうきんを呑み自ら逝く 第七十回 林黛玉りんたいぎょく、桃花社とうかしゃを再建し 史湘雲ししょううん、偶然に柳絮りゅうじょの詞を作る 第七十一回 わだかまりある人は故意にわだかまりを生じ 鴛鴦えんおうという女は思いがけず雄鴛鴦に出会う 第七十二回 王熙鳳おうきほう、強がって病を言うのを恥じ 来旺らいおうの妻、権勢を頼んで縁組を押しつける 第七十三回 痴れた侍女、誤って繡春囊しゅうしゅんのうを拾い 気弱な令嬢、纍金鳳るいきんほうを問わず 第七十四回 奸讒かんざんに惑わされて大観園だいかんえんを捜索し 孤介こかいを貫いて寧国府ねいこくふと縁を絶つ 第七十五回 夜宴を開けば異兆が悲音を発し 中秋を賞して新詞に佳讖かしんを得る 第七十六回 凸碧堂とつへきどうで笛を聴いて淒清せいせいを感じ 凹晶館おうしょうかんで詩を聯ねて寂寞せきばくを悲しむ 第七十七回 機転の利く侍女、無実を抱いて若く死に 美しい伶人れいじん、情を断って水月すいげつへ帰る 第七十八回 老学士、閑に姽嫿きかくの詞を徴し 痴公子、芙蓉誄ふようるいを作り上げる 第七十九回 薛文起せつぶんき、河東の獅子かとうのししを娶ったことを悔い 賈迎春かげいしゅん、中山の狼ちゅうざんのおおかみに誤って嫁ぐ 第八十回 美しい香菱こうりょう、貪欲な夫の棒を受け 王道士おうどうし、でたらめな嫉婦しっぷの処方を説く 第八十一回 旺相おうそうを占い、四美は魚を釣り 厳しい言葉を奉じ、二度家塾かじゅくへ入る 第八十二回 老学究、義を講じて頑なな心を戒め 病む瀟湘しょうしょう、痴魂は悪夢に驚く 第八十三回 宮中を見舞えば賈元妃かげんぴは病に染まり 閨中けいちゅうに騒ぎあって薛宝釵せつほうさは声を呑む 第八十四回 文章を試して宝玉ほうぎょくの縁談が始まり 驚風きょうふうを診て賈環かかんは再び怨みを結ぶ 第八十五回 賈存周かそんしゅう、郎中ろうちゅうへの昇任を報じ 薛文起せつぶんき、再び流刑の罪を招く 第八十六回 私賄を受けた老官、案牘あんとくを覆し 閑情を寄せる淑女、琴書きんしょを解く 第八十七回 秋声に感じて琴を撫で往事を悲しみ 禅寂ぜんじゃくに坐して走火入魔そうかにゅうまとなる 第八十八回 家族の歓びを博して宝玉ほうぎょくは孤児を褒め 家法を正して賈珍かちんは強情な僕を鞭打つ 第八十九回 人は亡く物は残り、公子は詞を作り 杯中の蛇影はいちゅうのだえいに顰卿ひんけいは食を絶つ 第九十回 綿入れを失い、貧しい娘は嗷嘈ごうそうに耐え 果物を送り、若者は測り難い事に驚く 第九十一回 淫心をほしいままにし、宝蟾ほうせんは巧みに計を設け 疑陣ぎじんを布き、宝玉ほうぎょくはみだりに禅を談ずる 第九十二回 『女伝じょでん』を評して巧姐こうしゃは賢良を慕い 母珠もじゅを玩んで賈政かせいは聚散しゅうさんを悟る 第九十三回 甄家しんけの僕は賈家かけの門へ身を寄せ 水月庵すいげつあんでは風月の事件が覆る 第九十四回 海棠を宴して賈母かぼは花の妖を賞し 宝玉を失って通霊つうれいは奇禍を知らせる 第九十五回 誤伝が真実となって元妃げんぴは薨じこうじ 偽物を本物に混ぜて宝玉ほうぎょくは狂う 第九十六回 消息を隠して鳳姐ほうしゃは奇計を設け 仕掛けが漏れて顰児ひんじは本性を失う 第九十七回 林黛玉りんたいぎょく、稿を焼いて痴情を断ち 薛宝釵せつほうさ、閨ねやを出て大礼を成す 第九十八回 苦しむ絳珠こうじゅの魂は離恨天りこんてんへ帰り 病む神瑛しんえいの涙は相思の地に降り注ぐ 第九十九回 官箴かんしんを守るも悪奴とともに例を破り 邸報ていほうを読んで老舅はひとり驚きを担う 第一百回 好事を壊され香菱こうりょうは深い恨みを結び 遠嫁を悲しんで宝玉ほうぎょくは別離の情を抱く 第一百一回 大観園だいかんえんの月夜に幽魂を警め 散花寺さんかじの神籤しんせんが異兆を占う 第一百二回 寧国府ねいこくふの骨肉は災祲さいしんに病み 大観園では符水ふすいで妖孽ようげつを祓う 第一百三回 毒計を施して金桂きんけいは自ら身を焼き 真の禅に昧くくらく雨村うそんはむなしく旧知に会う 第一百四回 酔金剛すいこんごう、小さなどじょうから大波を起こし 痴公子、残る痛みに以前の情を刺激される 第一百五回 錦衣軍きんいぐん、寧国府ねいこくふを家宅捜索し 驄馬使そうばし、平安州へいあんしゅうを弾劾する 第一百六回 王熙鳳おうきほう、禍を招いて羞恥を抱き 賈太君かたいくん、天に祈って災患を消す 第一百七回 余財を分けて賈母かぼは大義を明らかにし 世襲職を復して政老せいろうは天恩を受ける 第一百八回 無理に笑って蘅蕪こうぶは誕生日を祝い 死ぬほどの思いで瀟湘しょうしょうは鬼哭を聞く 第一百九回 芳魂ほうこんを待ち、五児ごじは誤った愛を受け 孽債げっさいを返し、迎女げいじょは真元しんげんへ帰る 第一百十回 史太君したいくん、寿命尽きて地府ちふへ帰り 王鳳姐おうほうしゃ、力尽きて人心を失う 第一百十一回 鴛鴦女えんおうじょ、主に殉じて太虚たいきょへ登り 犬豚けんとんの奴、天を欺いて盗賊仲間を招く 第一百十二回 生ける冤孽えんげつ、妙姑みょうこは大劫たいごうに遭い 死せる讐仇しゅうきゅう、趙妾ちょうしょうは冥曹めいそうへ赴く 第一百十三回 宿世の冤を懺悔して鳳姐ほうしゃは村の老女に託し 旧い憾みを解いて情ある侍女は痴郎に感じ入る 第一百十四回 王熙鳳おうきほう、幻を歴て金陵きんりょうへ帰り 甄応嘉しんおうか、恩を受けて玉闕ぎょっけつへ戻る 第一百十五回 偏愛に惑い惜春せきしゅんは素志を貫き 同類と証して宝玉ほうぎょくは知己を失う 第一百十六回 通霊つうれいを得て幻境げんきょうで仙縁を悟り 慈母の柩ひつぎを故郷へ送り孝道を全うする 第一百十七回 超凡ちょうぼんを阻み佳人二人が玉を守り 徒党の集まりを喜んで悪子がひとり家を継ぐ 第一百十八回 わずかな嫌疑を覚えて舅兄きゅうけいは弱い女を欺き 謎めく言葉に驚いて妻妾は痴人を諫める 第一百十九回 郷試きょうしに合格した宝玉ほうぎょくは塵縁じんえんを捨て 皇恩こうおんを受けて賈家かけは世の恵みを延ばす 第一百二十回 甄隠士しんいんし、太虚たいきょの事情を詳しく説き 賈雨村かうそん、『紅楼夢』を締めくくる

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