『ティマイオス』――火・空気・水のさまざまな形

2026-10-21 記
トピック: AI記事: プラトン: ティマイオス

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対話本文

ティマイオス(続) 次に理解すべきは、火にも多くの種類が生じたということだ。たとえば炎、炎から発し、燃やしはしないが目に光を与えるもの、そして炎が消えた後に赤熱したものの中に残るものがある。空気についても同様で、最も清らかなものは通称アイテールと呼ばれ、最も濁ったものは霧と闇と呼ばれる。ほかにも名のない形があるが、それらは三角形の不等性から生じた。水の種類はまず二つに分かれ、一つは流動する類、もう一つは溶ける類である。流動する類は、水の種類のうち小さく不等なものにあずかるため、その不均一性と形のあり方によって、それ自体でも他からも動きやすいものとなった。

ティマイオス(続) 一方、大きく一様なものからできた水の種類は、前者よりも静止しやすく、重く、凝固している。それは一様性による。だが、火が中に入り、それを分解すると、その一様性を失う。一様性を失うと、より多く運動を帯び、動きやすくなったうえ、近くの空気に押されて地上へ引き伸ばされる。塊が小さくなることは「溶けること」と名づけられ、地上へ引き伸ばされることは「流れること」と名づけられ、それぞれの状態にその名が与えられた。

ティマイオス(続) 火が再びそこから退くと、空虚な場所へ出て行くわけではないため、近くの空気が押される。そしてその空気は、まだ動きやすい液状の塊を火の占めていた場所へ押し込み、それを自分自身と混ぜ合わせる。押し集められた水は、再び一様性を取り戻す。不均一性を生み出す火が去るからであり、もとの自分自身と同じ状態に戻る。火が離れることは「冷却」と呼ばれ、火が去った後に集まって固まることは「凝固の一種」と名づけられた。

ティマイオス(続) 「溶ける類」と呼んだ水のうち、最も微細で最も均一なものから最も密に生じ、一種類のまとまりとなって、輝く黄色を帯びたものは、石の中をこし分けられて固まり、もっとも貴重な財物である金となった。金から分かれた枝状のもののうち、密度が高いため最も硬く、黒ずんだものは、アダマスと呼ばれた。金に近い成分をもちながら、一種類以上の形を含み、密度では金より高く、少量の細かな土を含むためいっそう硬く、内に大きな空隙をもつため軽いものは、輝く凝固した水の一種として固まり、銅となった。銅と、それに混じった土とは、古びるにつれて再び互いに分離する。その土がそれ自体ではっきり現れたものは、錆と呼ばれる。

ティマイオス(続) そのほかのこうした事柄については、蓋然的な物語の筋道を追うにあたって、さらに細かな点まで論じる必要はない。永遠に存在するものについての議論をいったん脇に置き、休息のために生成するものを考察する人は、蓋然的な話から後悔のない楽しみを得る。そして人生において、節度と知恵を備えた遊びをすることになる。

ティマイオス(続) この方針に従い、ここまでの話はひとまず置き、次に同じ事柄について続く蓋然的な説明を、次のように進めよう。火の混じった水のうち、粒が細かく、運動と、地上を転がって進む道筋によって流動するものは、「流動する類」と呼ばれる。また、その底面は土のものほどしっかりしておらず、押されると譲るため、柔らかい。この水が火から分かれ、空気に囲まれると、より一様になり、そこへ押し寄せるものによって押し詰められて凝固する。このように固まったもののうち、地上より上でこうした作用を最も強く受けたものは雹、地上で生じたものは氷と呼ばれる。作用をより弱く受け、まだ半ば固まったもののうち、地上より上のものは雪、地上で露から密に固まって生じたものは霜と呼ばれる。

ティマイオス(続) 水の種類の大半は互いに混ざり合っている。その全体のうち、地上に生える植物を通して濾されたものは「液汁」と呼ばれる。混ざり合うことでそれぞれ異なる性質を帯び、ほかにも多くの名のない種類を生じさせたが、火の性質をもつ種類のうち、とりわけ透明になった四つには名が与えられた。魂と身体をともに温めるものは酒である。なめらかで視覚を明瞭にし、ものを明るく輝かせ、油分を含むように見えるものは、松脂、キキ油、油、および同じ性質をもつほかのものなど、油性の種類である。口の周囲のつながりを自然な状態にまでゆるめ、その力によって甘みを与えるものは、何よりふさわしい呼び名として蜂蜜の名を得た。また、肉を焼いてほぐす性質をもつ泡立つ種類は、すべての液汁から分けられて、樹液と名づけられた。

ティマイオス(続) 土の種類のうち、水を通して濾されたものは、このようにして石の塊となる。 混合した水は、混合のなかで砕かれると、空気の形へと変わる。空気となると、それは自らの場所へ跳ね上がる。 その外側に空所はまったくなかった。そこで、混合水は近くの空気を押しのけた。

ティマイオス(続) 一方、その空気は重いため、押されて土塊を包み込むように回り込み、それを強く圧迫して、新しい空気が上ってきた場所へ押し集める。空気に押し固められた土は、水と分かちがたく結びついて岩となる。等しく滑らかで透明な部分からできた岩のほうが美しく、反対のものは見劣りする。

ティマイオス(続) 火の速さによって湿り気がすべて奪われ、先のものより乾いてもろく固まったものは、私たちが陶土と名づけた種類となった。湿り気がいくらか残っているときには、土が火によって溶け、冷えると黒い石になることもある。

ティマイオス(続) 二種類のものもまた、同じように、多量の水が混ざったものから分離してくる。土のより細かな粒子から成るため塩気があり、半ば固まった状態になり、再び水に溶ける。油や土を清める種類は洗浄用ソーダとなり、もう一方の塩は、口の味覚に関わる組み合わせによく調和し、〔法の定めに従えば〕神に愛される物質となった。

ティマイオス(続) 土と水の両方からできた物質は、水には溶けないが、火には溶ける。こうして固まる理由は、次のとおりである。土の塊は、火にも空気にも溶かされない。火や空気の粒子は、土の構造にある空隙より小さいため、広い隙間を無理に押し広げることなく通り抜ける。土をほどかずに残し、溶けない状態に保つのである。これに対して、水の粒子はもともと大きく、力ずくで通り抜けて土をほどき、溶かす。

ティマイオス(続) 力ずくで固められていない土をこのようにほどくのは、水だけだ。いったん固まった土をほどくものは、火以外にない。火以外には、入り込む道が残されていないからだ。水の結合については、最も強く固まったものをほどくのは火だけだが、より弱く固まったものなら火と空気の両方が散らす。空気は空隙を通り、火は三角形の面からも入り込む。力ずくで固まった空気は、元素の構成に即した作用以外では何ものもほどかない。力を受けずに固まった空気を溶かすのは、火だけだ。

ティマイオス(続) さて、土と水が混じってできた物体では、水が土の空隙を満たし、それらが力ずくで押し詰められているかぎり、外から来る水の粒子は入り込めない。その粒子は全体の塊の周囲を流れ、溶けないままにしておく。これに対し、火の粒子は水の空隙へ入り、水が土にするのと同じ作用を水に及ぼして〔空気を生み出し〕、共通の塊が溶けて流れる唯一の原因となる。こうした物体には、水より土を多く含むもの、すなわちガラスの類や、溶ける石と呼ばれるものすべてがある。逆に、水をより多く含み、蝋状のものや香をたく物質として固まるものもある。

ティマイオス(続) 形どうしの結びつきや相互の変化によって多様に形づくられる諸形態については、ここまでおおよそ示した。次に、それらの性質がどのような原因から生じたのかを、明らかにしていこう。

ティマイオス(続) まず、ここで述べているものには、常に感覚が伴っていなければならない。一方、肉と肉に関わるものの生成、また魂のうち死すべき部分については、まだ論じていない。

ティマイオス(続) しかし実際には、これらは感覚に関わる諸性質を抜きにしては十分に論じられず、それらもまた、これらなしには十分に論じられない。両方を同時に論じることは、ほとんど不可能だ。そこで、一方を先に仮定し、その仮定したものには後で改めて立ち戻る必要がある。諸性質を生成の説明に続けて論じるため、まず身体と魂に関わる事柄を扱うことにしよう。

ティマイオス(続) ではまず、火を熱いと呼ぶことについて、私たちの身体の周囲で火が起こす分離と切断を念頭に置きながら、次のように考察してみよう。

ティマイオス(続) この作用が鋭いことは、ほとんど誰もが感じている。だが、火の形の成り立ちを思い起こしながら、その側面の薄さ、角の鋭さ、粒子の小ささ、運動の速さを考えなければならない。その形は、こうした性質をすべて備え、それによって力強く切る性質をもち、出会うものをいつも鋭く切断する。他のどの本性よりも、この形の本性が私たちの身体を細かく分けて砕くため、いま「熱い」と呼んでいる作用とその名を、ふさわしいものとして与えたのだ。

ティマイオス(続) これらと反対の作用は明らかだが、それでも説明を欠かさずに述べておこう。身体を取り巻く流体のうち、大きな部分が入り込み、小さな部分を押し出す。大きな部分は小さな部分の場所に入り込めないまま、私たちの湿り気を押し詰める。こうして、一様さと圧縮によって、不規則に動いていたものから静止した状態を作り出し、固める。自然に反して集められたものは、自然に従って抵抗し、自らを反対方向へ押し返す。この抵抗と揺れから、震えと悪寒という名が生じた。そして、この作用全体と、それを引き起こすものはいずれも「冷たい」と名づけられた。

ティマイオス(続) 私たちの肉が押されて譲るものは硬く、肉のほうへ譲るものは柔らかい。互いに対しても同じである。譲るとは、押されてわずかに動くことだ。一方、正方形の底面からできたものは、非常にしっかりと立つため、最も抵抗の強い形である。最も密にまとまるとき、抵抗も最も強くなるからだ。

ティマイオス(続) 重いものと軽いものは、いわゆる下と上の性質とあわせて検討すれば、最も明瞭に示せるだろう。自然のうちに、全体を二分する互いに反対の場所が二つあると考えるのは、まったく正しくない。そこには、身体のかさをもつものすべてが運ばれる「下」があり、もう一方の「上」には、あらゆるものが自らの意に反して向かうというのである。宇宙全体が球形である以上、中心から等距離にある外縁の諸点は、いずれも同じように外縁である。中心は、外縁のすべてから等距離にあるため、それらすべてに対向していると考えなければならない。このようなあり方の宇宙で、そこに「上」や「下」という名を当てる者は、ふさわしくない名を用いていることにならないだろうか。中心の場所は「下」とも「上」とも呼ぶのが正当ではなく、ただ真ん中にある。外周は真ん中ではなく、またその一部が、別の部分よりも中心やその反対側のどちらかに近いということもない。どの方向にも同じように成り立っているものに、互いに反対の名を当てて、どうして正しく言っていると考えられるだろうか。

ティマイオス(続) もし何か固体が全体の中心に、あらゆる外縁から等しく離れて置かれているなら、外縁の諸点はどの方向も等しく似ているため、それがどれかの端へ運ばれることは決してないだろう。ところが、誰かがそれを円を描いて回り、反対側に立つたびに、同じものを「下」とも「上」とも呼ぶことになる。全体は先ほど述べたように球形であるから、ある場所を「下」、別の場所を「上」と呼ぶのは理性的ではない。これらの名がどこから生じ、どの場所にあるものをそう呼ぶ習慣になったのか、またそれにならって天空全体を区分して語るのかについて、次の前提を置いて合意しておく必要がある。 全宇宙のうち、火の本性が最も多く割り当てられ、火が向かって集まる場所で、誰かがそこへ立ち入り、力を及ぼせるとしよう。その人が火の一部を取り分けて秤に載せ、秤の腕を持ち上げ、火を別種の空気の中へ力ずくで引いていくなら、大きなものより小さなもののほうが、より容易に力を加えられることは明らかだ。二つを一つの力で同時に持ち上げるとき、小さいほうはより強く引き伸ばされ、大きいほうはそれほどでもなく、どちらもその力に従って引かれるからだ。そこで、大きいほうは重く、下へ運ばれるものと呼ばれ、小さいほうは軽く、上へ運ばれるものと呼ばれる。 この同じことを、私たちがこの地上で行っていることから見て取らなければならない。私たちは地面に立ち、土の種類を分け、ときには土そのものも、別種の空気の中へ力ずくで、自然に反して引き上げる。どちらも自分と同類のものにしがみついているが、異質なものの中へ無理に引くと、小さいほうが大きいほうより先に、より容易に従う。そこで私たちはそれを「軽い」と呼び、力ずくで引き上げる先の場所を「上」と呼ぶ。それと反対の作用を「重い」「下」と呼ぶのである。 したがって、これらのものは互いに対して異なる関係にあるはずだ。種類ごとの多数のものが、互いに反対の場所をそれぞれ占めるからである。〔63e:場所ごとの「軽い/重い」「上/下」の対応を列挙する句は、関係が不明瞭なため省略〕。こうして、それらは互いに反対で、斜めに位置し、あらゆる点で異なるものとして生じ、また存在していると見いだされるだろう。ただし、これらすべてについて一つ理解しておくべきことがある。各々が自分と同類のものへ向かう道筋にあると、運ばれるものは「重い」となり、それが運ばれていく場所は「下」となる。これと異なる関係にあるものについては、反対のことが成り立つ。これらの性質の原因は、ここまで述べたとおりとしておこう。

訳注

静止した状態:Burnetの印刷本文は「動かない」と読みます。校異欄には「常に動いている」と解する欄外の異読も記録されています。本訳は印刷本文に従いました。

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