三つの法螺貝に、三人の人物像が重なる
クリシュナのパーンチャジャニヤ、アルジュナのデーヴァダッタ、ビーマのパウンドラ。この節では三つの法螺貝が名前を伴って登場します。それぞれの名には、持ち主が歩んできた物語が刻まれています。
感覚の主であるクリシュナ、富を征服したアルジュナ、恐るべき力を持つビーマ。三つの音は同じではなく、それぞれの人物の性格や神話的な背景を帯びています。名前の一覧として覚えるより、戦場に三人の存在感が音となって現れた場面として読むと、節の輪郭が見えてきます。
ギータプレス版からの日本語訳――第1章第15節「三つの法螺貝の名」
pāñcajanyaṁ hṛṣīkeśo devadattaṁ dhanañjayaḥ |
pauṇḍraṁ dadhmau mahāśaṅkhaṁ bhīmakarmā vṛkodaraḥ || 15 ||
訳
クリシュナは、 パーンチャジャニヤという名の自分の法螺貝を吹いた。
アルジュナは、 デーヴァダッタという自分の法螺貝を吹いた。
そして恐るべき勇敢な行為で知られるビーマは、 パウンドラという巨大な法螺貝を吹き鳴らした。
注釈訳
hṛṣīka とは感覚を意味する。
そして感覚の主、
すなわち感覚を制御し動かす方は、
Hṛṣīkeśa と呼ばれる。
この語はまた、 生活の豊かさを伴う喜び、 幸福、 力の宝庫という意味も表す。
主は感覚の支配者であるだけでなく、 生活の豊かさを伴う喜び、 幸福、 力の宝庫でもある。
そのため、 クリシュナの名の一つがフリシーケーシャなのである。
クリシュナは、 パーンチャジャナという名の、 法螺貝の姿をした悪魔を倒し、 それを自分の法螺貝とした。
そのため、 彼の法螺貝はパーンチャジャニヤという名を得た。
ラージャスーヤ祭の時、 アルジュナは多くの王国を征服し、 パーンダヴァの都に莫大な富をもたらした。
そのため彼は、 ダナンジャヤ、 すなわち富を征服する者という呼び名を得た。
また彼は、 天界の王インドラから、 デーヴァダッタという名の法螺貝を得た。
それは、 アルジュナがニヴァータカヴァチャたちや他の悪魔と戦うために天界へ行ったときのことである。
この法螺貝の音は非常に大きく恐ろしく、 敵軍の兵士たちを震え上がらせた。
第二のパーンダヴァであるビーマは、 並外れた肉体の力を持つ人物であった。
彼の行為は非常に恐ろしく、 それを見たり聞いたりした人々の心に恐怖を起こさせた。
そのため彼は、 「恐るべき勇敢な行為をなすビーマ」として知られるようになった。
彼は大食漢であり、 大量の食物を消化する並外れた力を持っていた。
そのため彼は、 ヴリコーダラという名を得た。
彼は非常に大きな法螺貝を持っており、 その音は遠くまで響き渡った。
したがって、 それは「巨大な法螺貝」と呼ばれている。